指導を続けてきて、他の教室でレッスンを受けていた経験のある方、を、うけいれてきたことが割と多いのですが、お話を聞くといろいろ考えさせられてしまうことがあります。

その中の1つ<曲の形式を理解して演奏する>ということについて、初歩の段階から気をつけておくとよいことをお話してみようと思います。
もちろん、専門的に学んでいる方、指導者の方がきちんと楽曲分析も指導してくださっている方にとっては、今回の記事は全く無用のものだと思います。

ですが、「新曲を練習する際に、形式を意識して練習するのと意識市内で練習するのとではどういう違いがあるのか?」ということを知りたいという方には、参考になるものではないかと思います。

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まず、レッスンを受けている方もいない方も、新しい曲を手がけるとします。
曲を決めて、まず、何をしますか?


大抵は

「いきなり、音を出す」

という答えが出るのではと思います。確かに、それでも、弾けないことはないです。
ですがあなたがもし、練習時間が毎日コンスタントに1時間取れる人ではないとか、読譜が苦手とか、曲が長いとか、・・・の場合、いきなり音を出していたのでは、全くたどりつけないということも多々あるのではないでしょうか。

たどりつけないまま、次のレッスンの日が来ました。当然、最後まで譜読みが出来ていないわけです。譜読みができなかった言い訳をグダグダ並べるのも聞き苦しいですが、そんなことを言わなければならない自分も情けない。


ではどうしたら、少しでも読譜が楽になるか。


そのためには、「ざっくりでもいいので、曲を分析しておく」ことが有効。私が「ザックリアナリーゼ」と呼んでいる方法です。いえ、決して難しいことはしません。

本格的な分析をしてもいいのですが、まだ、そこまでの知識がない初歩の方でも、ある程度の形式を見つけることはできます。

例えば、曲はバイエルでもなんでもいいのですが。リピートで前半・後半と分けられるタイプの曲などは分けやすいです。この時、楽節の基本的な知識があれば法則がわかりますが、まだ楽節という言葉を説明しても良くわからない小さい子どもたちにも分かるように

「8小節のかたまり」
で線を入れてもらいます。

「ちょうちょう」「きらきらぼし」など、子どもの曲集や教材にも入っているような曲の場合、8小節では区切れないので、4小節で線を入れて区切ってもらうのですが、印刷により、ちょうど4小節で次の段に送られている、という楽譜になっていることも多いので、こういう曲だと説明がしやすいです。


この線を入れる作業のあと、「なかまさがし」「なかまはずれ」をします。

「なかまさがし」は、メロディや和音進行、伴奏形などが「同じか、似ているもの」「なかまはずれ」は、「全く他のパーツとは異なるもの」を探すのです。

大体a-a'-b-a'のようになっている場合、「なかまはずれ」はbとなります。

「なかまはずれ」が見つかったら、記号を入れたり、私は中学生以下の子は吉原麻生先生のレッスンノートを使っているため、付録のくだものシールを貼ってもらったりします。

全く違う部分の場合、どのようにほかと違うか、例えば伴奏形が違うのか、この部分だけリズムが違ったり、左手にメロディが移動するか、などの特徴を見てもらいます。

似ている部分の場合、aメロディの特徴(上行/下行する音型か、スケールか、アルペジオ、3度重音やオクターブ、付点リズムなど)伴奏がある場合伴奏形(和音分析ができる場合は、和音記号を入れますが、簡単に「どみそ」はまるで。「しふぁそ」はさんかくで、「どふぁら」はしかくで、音型を囲むとか、色鉛筆で色分けするということが多いです)バスのラインをたどったり、という作業を行います。


既にこういうことをレッスンで行っている先生にとっては、私の方法は目新しくもありません。
でも、子どもの頃にレッスンを受けた経験のある複数の大人の生徒に聞くと、私がやっているようなざっくりの分析法とか、音型を意識するというレッスンを受けた経験が全くない、という人が圧倒的に多いのです。


実際、このざっくりアナリーゼ方法で分析をしたあと譜読みをしてもらった場合、全く分析しないで譜読みをしてくるよりも、早いのです。曲が長くなればなるほど、同じ部分や似ている部分が見つからない気がすると「先が見えない」と思ってしまう人が多いです。初見のきく人ならまだしも、私もそうですがどちらかといえば初見があまり得意ではない人の場合、この「先の見えなさ」は、「心折れる原因」になってしまいます。



逆に、この方法で6ページの曲(本人的には普段4ページくらいのものをやっていて、やや長い)をやっている生徒がいますが、生徒に聞くと「先が見えるので精神的に楽。がんばれば、出来そうな気がする」とのことです。
「ちょっとがんばればできそう」と思わせることも大事だし、また同じ彼女が言っていたことですが
「最初は楽譜を見ながらどんな構成なのか全くつかめなかった。先生に「ここから曲想変わるよ」とか、「ここは前と同じ」と言っていただいて、自分でもそのつもりで楽譜を見たら納得できました」

ということですので、ざっくりでも分析するのは必要です。

私は大体、8小節の曲が出てきた時点から分析についてお話を始めますので、小さい子だと5歳です。5歳児にわかるような説明をします。(当たり前ですが)16小節の曲を始める頃には、5歳児が「せんせー、ここなかま」と教えてくれるようになりますので、小さい子でもできるのです。

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