そして再び参りました、岐阜県大垣市にある宿「縁音」
「音をつむぐ宿~縁音~」は名器ペトロフを朝晩気兼ねなく愉しめるB&B(ベッド&朝食)スタイルの宿泊施設。泊まり込みで美しいマホガニー猫脚のP173Breeze保守点検に臨みました。
PETROF P173 Breeze Demichippendale Mahogany High Polish
納品したのは2年前、今やすっかり空間に馴染んでいます♪
いつもお世話になっているオーナーご夫妻にチェコのお土産を🍺🍷
ペトロフを通じてチェコ共和国の文化を皆様と一緒に愉しむのがピアノプレップ店主の信条。
もちろんピアノファンとの交流も大事。X(旧Twitter)ではこの綺麗なピアノが工場から出荷される前の模様をご紹介、有難いことにペトロフを弾かれた宿泊客が嬉しい口コミを広めてくださっています♪
4月のPETROF社160周年セレブレーションで『縁音』に納品したペトロフGPを担当してくれた整音技師とまさかの出会い、動画の御礼を伝えました。まさに一台のピアノがつむぐ不思議な『縁』....
こちらは2023年に実施した保守点検作業のレポート、「縁音」までのアクセスおよび美濃赤坂の魅力についてブログに綴っています✍️
鞄一杯に楽譜を詰め込んで弾きこもる方、本番前の練習のためにご家族で泊まる方、居心地の良さに延泊を希望される常連客もいらっしゃるようで「このペトロフを選んで良かった」とオーナー様もご満足…
肝心なピアノのコンディションは温度湿度の徹底管理&適切なメンテナンスで極めて良好。ひとたび訪れたらオーナーご夫妻の楽器への愛情が音楽ファンなら伝わることでしょう😌
それでは保守点検作業を今回も振り返ります。
これはコンサートピアノの整備と同じ内容、音程をそろえる「調律」だけではなく演奏者の表現をサポートする「整調」「整音」がいかに大切かピアニストやピアノユーザーの皆様に伝われば幸いです。
まずは真鍮棒で「駒打ち」。弦の振動が駒に伝わるよう密着させます。
弦&チューニングピンをクリーニング、響板の埃を吹き飛ばします。
先に調律をチェック、コンサートホールのピアノよりも安定。A=442Hzで緻密かつ音楽的に音程をそろえていきます。
そしてアクション、鍵盤を外して内部の点検へ。
コンサート調律と違って保守点検は土台からチェック&リセット。楽器の性格や魅力をも決定づける作業になります。
まずは鍵盤筬などネジの増し締めを。
キーピンを一本ずつ磨いて鍵盤の動きを滑らかに。地味ですが基礎的な作業の積み重ねが弾き心地を作ります。
そして鍵盤の遊びもチェック、専用プライヤーを使って摩擦による抵抗感を軽減します。
そしてアクションの調整へ、ローラースキンにテフロン処理。上質なタッチ感を作ります。
続いてサポート合わせ。ローラーとレペティションレバーの位置をひとつずつチェック&修正。
トリル、連打をつかさどるジャックの調整。まずは前後位置をチェック...
続いてジャック上下の位置、0.2mm単位で精密に。
そしてハンマー接近距離をチェック。LEDライトで照射しながら0.5mm単位でこちらも精密調整...
ハンマードロップ(戻り)距離は2mmで調整。
鍵盤高さの調整は基本、綺麗に均されています👍
鍵盤の深さは10mm、専用の定規とパンチング紙を抜き差しして調整します。
鍵盤のアフタータッチをもとにハンマーストローク(打弦距離)も決定。
ハンマーストップ位置は弦から15mmで設定。さらにレペティションスプリングの強弱を調整してアクション&鍵盤の「整調」が完了。
そして音質に関わるハンマー「整音」作業へ。まずはソフト(シフト)ペダルの音質を専用ピッカーでそろえます。
続いて音の硬さを一音ずつ聴き分けながらハンマーフェルトに針を入れて調整。各音pppからfffまで表現できる弾力性に整えます。
針の痕跡を処理すべくフェルトを整形、音も艶々しく✨
最後に3弦合わせ、ハンマーと弦の接点を微調整。pppにも輪郭と存在感が宿ります。
ハンマーの並び、鍵盤の間隔が綺麗に整った状態。ピアノは8000~10000からなる部品の集合体。見た目も感覚的にも精密に揃えることでピアニストは楽器と一体感が得られます。洗練された調整がピアノの個性を引き出す、それがスタインウェイ・ディーラー時代に店主が学んだ教訓。名ばかりでなく内容が伴ってこそのブランドです。
初日の作業終了時点で店主のテスト演奏をXに投稿、フォロワーの皆様のお陰で思いのほか反響が大きくビックリ。重ねて感謝です🙏
スマートな猫脚モデルのPETROFの美しいスタイルをマホガニー艶出外装とともに📸
作業後オーナー様の計らいでご近所の池田温泉にご案内頂きました♨️
肌つるつるの温泉に浸って仕事の疲れを癒した後はお楽しみの夕食。併設の食事処では地元産の食材にこだわった郷土料理を...
大垣養老高校とのコラボメニュー、特製「味噌カツ定食」を注文!大変美味しく頂きました😋
その後「縁音」に戻り、オーナー様ご夫妻と音楽や歴史の話に興じた後、店主は気持ちよく熟睡…💤
そして二日目。夜は雨に降られましたがご覧の通り温度・湿度は理想的な数値をキープ。これもオーナー様が日々心掛けている空調管理の賜物、すべてはピアノを楽しみに宿泊利用されるお客様の為です。
今回ご用意頂いた朝食は「和食」。岐阜県のお米「初霜」、自家製の食材など随所に感じられるこだわりともてなし。これもまた(ピアノプレップ店主も含めて)リピーターが増える理由に違いありません。
朝食を堪能した後に再び保守点検を再開、この日は音を止めるダンパー装置の微調整。ダンパーペダルの効果を揃えるだけでなくダンパーストップレールやソステヌートペダルの機能も細かくチェック...
改めて整調、整音も点検。遠方だけに念には念を入れます。
最後に調律も、一音一音ユニゾンの質まで揃えて保守完了👍
ご利用者の多くは静かにピアノ演奏に没頭できる環境を求めていたとのこと、「縁音」はそんな願望を満たしてくれる稀有な宿。数日前にも宿泊予約が3組入ったそう、店主も我がことのように嬉しいです☺️
コンサートピアノ同様に整備された極上のペトロフと美味しい朝食、肌がツルツルになる池田温泉も。ぜひ歴史ロマン溢れる西美濃エリアを訪ねてみませんか?利用された皆様のご感想お待ちしています!
他会場とともに「音をつむぐ宿~縁音~」もご紹介♪
ペトロフピアノ専門店&輸入元
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