人気モデルP159Boraウォルナット艶出
プレップアップ(精密調整)作業の模様を
ピアノを愛好する皆様に一挙公開!
弦と駒を密着すべく真鍮棒で「駒打ち」
アクションを引き出してハンマー走り調整、
動作時の方向性をのり紙で整えます。
アルコールランプでハンマーが植えられた
シャンク(木の棒)を炙って角度を調整。
ハンマーフェルトの打弦点、角度、間隔の
調整がここでいったん完了。
鍵盤筬と棚板の間に浮きが無いように
ベッディングスクリューで微調整。
鍵盤の支点にあたるバランスキーピン、
定規をあてながら前後位置の調整。
定規で鍵盤の高さをチェック、チョークで
抜き差しするパンチング紙をメモ。
アクションと鍵盤を取り外して土台の調整、
料理と同じく、味の決め手は下ごしらえです。
チョークのメモにしたがってパンチング紙で
鍵盤高さを調整、0.02mmの極薄紙も使用。
キーピン176本の汚れを綺麗に拭います。
鍵盤の動作がスムーズになるよう
フロントキーピンの角度を微調整。
キーホールをブラッシング、混入する
木屑などを綺麗に掃除します。
アクションに力を伝える鍵盤後方にある
キャプスタンスクリューを滑らかに磨き、
左が作業済み、右はこれから作業...。
アクションと鍵盤を組み上げて本体に収納、
白鍵、黒鍵の高さを精密に整えます。
白鍵深さを専用定規で10mmに調整。
ハンマーシャンク下部のローラースキンと
レペティションレバーを正確に合わせます。
のり紙を用いて精密に調整、鍵盤の力が
過不足なくハンマーに伝わるように...。
接近調整に関わるレギュレーチングボタンと
ジャックの接点、キャプスタンスクリューと
ウィペンヒールのかみ合わせもチェック。
バックチェックの角度をプライヤーで調整。
ハンマーを正確な位置でくわえるように
バックチェックの左右間隔を調整します。
上質なアフタータッチを作るために
テフロンパウダーを用います。
アクションを本体に戻して弦合わせを確認。
ここでA=443Hzで粗調律を行いました。
さて、日が替わりまして・・・
この日は嘱託のピアノ技術者が手伝いに、
ヨーロッパの一流ピアノメーカーでも行う
調整の仕方をアドバイスしながら、工程を
進めていきます。まずジャックの前後調整...
ジャック上下をチェック、緻密に調整。
続けてハンマーと弦の接近距離を調整、
LEDライトで照らしながら地道に作業。
ハンマーのドロップ(戻り)を2mmで調整、
レペティション(連打性能)に関わる作業。
ハンマーと弦の距離(ストローク)を調整、
距離は白鍵のアフタータッチで決定。
白鍵のアフタータッチの感触を黒鍵に
移植する形で鍵盤の深さを調整。
ハンマーストップは弦から15mm。
連打、トリルに関わるスプリング調整、
88鍵すべてチェックしていきます。
さて、アクションの整調が一区切りついて
「整音」、ピッカーでハンマーの弾力性を
整えて、音質はもちろんのこと、鍵盤から
指先に伝わるクッション感をも揃えます。
ハンマーフェルトの表面を滑らかに処理、
見た目だけでなく音色を意識しながら...。
ソフト(シフト)ペダル使用時の整音、
正確な弦合わせがあって可能な作業。
続けて「3弦合わせ」作業、ハンマーを
弦に当てて同時に接しているか確認。
カーボン紙で転写したハンマーの弦跡、
3弦が同時に接するように目の細かい
ファイラーで微調整していきます。
3弦の接点をチェックしたらチョークでメモ、
この印がなくなるまで作業を重ねます。
アクションの精密調整がこうして完了、
ここまで作業を徹底することでようやく
プロの奏者に応えられる楽器が誕生。
最後にダンパーの動作も微調整。
調律を再修正してプレップアップ完了。
美しいウォルナット材で彩られたケース、
ワックスで艶々しく磨き上げました♪
PETROF P159Bora Walnut High Polish
Disacciati Piano Bench Mod.810 Hydraulic
最後まで工程をご覧になられた方には
ピアノは量販されるべきものではなく
どのように提供されるのが望ましいか
きっとご理解頂けることでしょう。
今までにも何度かPETROFで録音された
作曲家の三島元樹さんがたまたま来店、
テスト演奏をアップして下さいました!
温かく朗らかに歌い上げるような音色...
ベビーグランドピアノながら豊潤な響き...
そして適度に指にフィットするタッチ感...
音のサステイン(持続性)にもご傾聴を。
手間と時間をかけてプレップアップした
チェコの名器を一度ぜひご試弾下さい♪