某プライベートホールからご依頼を受けて

週末に一日メンテナンスを実施しました。

工業品として量産量販されたピアノの方が

得てして手入れ不十分だったりするもの。

維持管理というよりも土台からあらためて

リセットと申し上げた方が正解かも・・・

 

鍵盤筬と棚板が正しく接地するように

ベッディングスクリューを再度設定。

 

鍵盤の高さを定規で細かくチェック。

 

アクション、鍵盤を外してキーピン磨き、

真鍮製はべとつくので注意が必要。

 

フロントキーピンも綺麗に磨きました。

少しでも抵抗感を減らすことが大事...

 

フロントキーピンの角度を修正。

 

キーホールをブラッシングして掃除、

まだ木屑が残っていました。

 

ひとつひとつ鍵盤の遊びを丹念に調整、

弾き心地をスムーズにします。

 

アクションに力を伝える鍵盤後部にある

キャプスタンスクリューも磨きます。

 

鍵盤の動作をひと通り滑らかにしたら

アクションを搭載して再び本体へ。

鍵盤の高さを精密に整えていきます。

 

アクション内部の調整、ハンマーに鍵盤の

力を伝達するジャックの前後を精密調整。

 

ジャックとレペティションレバーの高さを

調整、連打性能にも関わる大事な作業。

 

ローラースキンへのテフロン処理を

忘れていました。

 

ここでいったん調律、湿気でピッチが

上がっていたためA=442Hzにリセット。

 

調律しながらハンマーフェルトの硬さが

気になったのでチョークで印を。

 

音量を増強するためかフェルトが硬すぎ...

適当な弾力性を与えるべく針を刺すことで

音抜けが良くなり、深みが生まれます。

 

微弱音が出せるようハンマー接近調整、

LEDライトで照らしながら88鍵を整えます。

 

ハンマードロップ調整、接近の位置から

2mmほど低いポジションにそろえます。

 

パンチング紙で白鍵の深さを調整、

定規を使用して10mmで揃えます。

 

白鍵のアフタータッチの感触を基準に

ハンマーから弦までの距離を整えます。

 

 

そして黒鍵のアフタータッチをチェック。

 

白鍵のアフタータッチと同じ感触に...

黒鍵の深さもひとつひとつ調整。

 

打弦後のハンマーストップを調整、

弦から15mmの位置で揃えました。

 

連打性能に関わるスプリング調整、

強すぎず弱すぎず整えていきます。

 

毛羽立っていたハンマーフェルトを

布ヤスリできれいに処理することで

垢ぬけない音質がまとまります。

 

フェルトの粉塵を掃除機できれいに。

 

あらためて丹念に整音作業を実施、

fff~pppまで聴き分けて行います。

 

まだ細かい詰めの作業を残すものの

艶やかながらもしっとりとした音質が

楽しめるピアノになりました。

 

ペダルをピカピカに磨き上げました。

 

音、タッチともに新品以上のクオリティに。

 

日本製、ヨーロッパ製を語るのであれば

ピアノそのものが整備されていることが

最低条件です。チェコ製ペトロフピアノが

過小評価されていたのもそれが原因。

ピアノを心地よい楽器に至らしめるのは

精密な調整あればこそです。