先日、ドキュメンタリー映画「カンタ!ティモール」を見てきました。
この映画は、2002年に独立した東ティモールが舞台。
東ティモールの人々が過酷な状況の中でひそかに口ずさんできた歌と、戦火を生き抜いてきた人々のインタビューで構成されています。
参加者は20名ほど。
もうすでに見たことがあるという方も結構いらっしゃいました。
会場には東ティモールの人々の写真が飾られています。
監督の広田奈津子さんが、独立記念の式典に参加するために東ティモールへ行った際に耳にした歌がきっかけで作られた映画です。
一年後再び訪れて、その時に歌っていた青年アレックスと出会う事が出来ました。こちらがその彼です↓
そして、東ティモールの人々の目に宿る光の強さに気付きます。
想像を絶するような悲惨な体験をしたはずなのに、恐れのない目をした人々に出会い、これを映像として残したいと思ったそうです。
旅をしながら様々な人にインタビューしていくのですが、観光ビザで入国していたため限度は3ヶ月。
それを9回繰り返し、記録し続けたものがこの映像です。
映画は楽しげな音楽と、子供たちのキラキラした笑顔で始まり、様々な場面で音楽が盛り込まれています。
しかし、明るくインタビューに答える人たちの口から出る言葉は、戦争の悲惨さを物語るもの…。
東ティモールはポルトガルの植民地だったのですが、インドネシア政権に軍事占領され、それに対して抵抗し続けました。
ただ「自分たちの生活をしたい」という意思を貫くために。
本当は武器など持ちたくないけれども、容赦ない残虐行為から身を守るために武器を手にして抵抗しました。
基本的には、武器を奪って攻撃できないようにしたり、インドネシア兵を捕らえて説得をするというもの。
もし相手が怪我をしていたら、手当てをして、自分たちの思いを話して、理解してくれれば解放します。
例えその相手が、自分の家族を殺したとしてもです。
東ティモールの3人に1人はこの戦争で亡くなっています。
インドネシアの残虐行為は凄まじく、家族や友達を目の前で殺されたという体験をしていない人の方が少ないと思います。
それでも彼らは、実践している兵士たちが悪いのではなく、それを指示する政権、そしてインドネシアの資源や市場目当てにインドネシアを援助する国々に原因があると分かっているからです。
この「インドネシアを援助」していた国の1つが、日本です。
スハルト政権に投じた援助金は4兆円近く。
東ティモールの破壊と殺戮行為をし続けるインドネシアをずっと支持し続けていたのです。
広島と長崎の原爆を体験した日本が。。。
一体あの戦争で何を学んだのでしょうか?
しかし、当時東ティモールの現状はほとんど報道されませんでした。
私は、1990年代にバリ島へ旅行に行ったことがあります。
東ティモールは、バリ島から飛行機で1時間ほどのところ。
そんな近くで、このような悲惨な出来事が起こっていたなんて知りませんでした…。
映画の後半は、涙がとめどなく流れてきて、人がいなかったら声を上げて泣いてしまいそうでした…。
今回の上映会は、名古屋市にある統合医療クリニック徳さん主催。
上映会の後は、監督と徳先生の座談会がありました。
日本のしたことを考えれば、日本人である監督がインタビューをするのは勇気がいることだと思うのですが、東ティモールの人たちは、責めることは一切無かったそうです。
あなたの周りを良くして
あなたの人生を生きて
それが世界を平和にするから
みなさん、そのようにおっしゃったそうです。
東ティモールで起きた出来事はとても重たいものだったけれども、映画でインタビューに答える人々は、前を向いて生きていっている様子が伝わってきました。
そして彼らの生き方や思考からくるメッセージは、多くの人が忘れかけている大事な事を教えてくれている気がしました。
多くのもの、たくさんの人々を失ってしまった彼らは、親を亡くしてしまった子どもも自分の子どものように育てています。
失業率も高く、10人に一人しか働いていないような現状でも、農業をしたり、みんなで協力して家を建てたりして、なんとかやっています。
経済成長に幸せを求めない生き方をした彼らは、不便な事も多いかもしれないけれど幸せな顔をしていました。
子供たちの目も輝いていました。
生活が豊かになった私たちですが、心は豊かになったのだろうか?
考えてしまいました…。
私はこの映画を見て、東ティモールの人々の素晴らしい考え方を知ってほしいと思いましたが、これを見た人全員が同じ気持ちになるわけではないと思っています。
人それぞれ、考え方が違うのが普通だからです。
でも、この映画には世界に平和をもたらすためのヒントがたくさん詰まっていると思います。
共感してくださる方もいると思います。
見た人が増えれば、それだけ共感してくださる人の数も増えます。
たまに上映会が開かれていますので、その時はぜひ見ていただきたいなと思います。
カンタ!ティモールの公式ホームページはこちら→★
この映画に出てきたアレックスは、2017年、心臓麻痺で亡くなってしまいました。
アレックスもそうなのですが、拷問で電気ショックを受けた人が多く、その際に血栓が出来て、若くして心臓麻痺で亡くなる方が多いそうです。
生前、彼がくれたメッセージがあったそうです。
それが、このポストカードのメッセージです。
多分、東ティモールで起こったことを知らない日本人はたくさんいると思います。
紛争中の東ティモールの取材をされた報道写真記者の南風島渉さんが、2000年に出版された本があります。
独立前の出版ですが、わかりやすい本です。
いつかロロサエの森で―東ティモール・ゼロからの出発(たびだち)
2,750円
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今回は、武力行使をせずに独立を勝ち取った奇跡の国があったの発見でした。