本職に復帰する前に相談を受けた事のある

いくつかの事例をもとに個人的に思う事を

書いてみようと思います。


現在、巷では子供コンクールが盛んになり

コンクール入賞者多数というのを売りにして

教室運営されているところも増えました。


特に少子化が加速するこれからの時代は

手っ取り早く要領よく稼げる手段なので

ビジネスと割り切るなら賢明な方法ですし

それを否定するつもりはありません。


生活がかかっている先生方にとっては

稼げないとなると死活問題になってくるので

それは生きていく為に誰でも必須ですし。


だからビジネスと公言された上で

コンクールに特化した教室としている先生は

むしろ私は立派だと思っています。


でもね、入賞する事と真の実力は比例しない

という事をきちんと伝えていなかったり

コンクールは将来的に有利とか何とか言って

年中コンクール漬けにさせてしまう行為は

NGなのではないかなと思うのです。


しっかり事実は事実として親御さんにも伝え、

昔と今は参加する層が変わっている事も含めて

コンクールの位置付けを明確に説明しないから

後々のトラブルにつながるのではないかと

思えてならないでいます。


ただ、昔の子供コンクールを先生ご自身が

ご経験のない場合はそもそもを知らないので

そこでズレが生じてしまっているというのは

否めないのはあるかもしれません。


というのも、可哀想なことに

コンクールに入賞した事で本人がその気になり

いざ専門の道に進みたいとなったのだけど

このレベルでは厳しいと言われた、どうしよう

というような相談をされた事は一度や二度

ではなかったからです。


子供時代のもっとも大切な時期に

その熱意、労力、時間を費やしてきた結果が

これでは本当に可哀想でしかないです。


ビジネスはビジネスとして伝える、

それが指導者側の誠意ではないかと思うのです。


大手さんならまだしも個人教室は特に。


頑張った割にその価値は低く、

本気組の子達との明らかな実力差を知り

現実を突きつけられる事がどれだけ酷な事か

考えてあげてほしいなと思うのです。


こんな事を言うと綺麗事では生活ができない

と言われそうですが、私が母親の立場なら

やはり騙されたと思ってしまうと思います。

選択肢がある事を知りたかったと思うのです。


素人にはわからないからこそ信じますし

親が我が子にかける熱意を利用するやり方は

なんだかなぁと思います。



そしてもうひとつコンクールに関連しての

トラブルで相談された事のある

コンクール時の謝礼について。


これも親御さんの習い事に対する考え方が

変わったからだと思っています。


近年の子供コンクールはもはや

記念イベントのひとつに過ぎない位置付け。

つまり、参加する層が変化したということは

謝礼の文化なんぞ知るわけがないのです。


今はもう謝礼ではなくビジネス手数料

と言ったほうが時代に合う気がします。


コンクールはビジネスに過ぎない。

だから先生側は遠慮する事なく手数料として

普段のお月謝とは別に頂戴いたしますと

稼ぎたいなら仰ってもよいと思うのです。


そもそも謝礼の文化というのは

コンクール自体、昔は専門を目指す子達だけが

参加するお勉強の場だったわけです。

コンクールはゴールではなく単なる通過点。

今の時代のように入賞する事が目的になり

そこが目標地点ではなかったのです。


純粋に勉強させていただいた事へのお礼。

昔は誰もが出る事はできなかったコンクール。

そのコンクールに参加できるほどまでに

実力を引き上げて指導してくださった

先生に対するお礼の気持ちだったのです。


大変失礼な言い方で申し訳ないですが

今みたいに練習不足のまま舞台に立つ子は

一度も見た事がなかった私にとっては

「なんじゃこりゃ」のコンクールになっていて

大きな衝撃をうけましたから。


その証拠に今はコンクールの謝礼についても

予選通過しなかったのは先生の指導力のせい、

だから何もお礼をする必要はないよね?とか

コンクールは入賞しなければ無意味みたいな

風潮になっているのだと思います。

だからと言って入賞させる為に厳しくすると

今度は虐待とかなんとか言って騒ぎ立てる。 


もうね、勉強の場という意識はなく

残念ながらコンクールに対する目的意識や

考え方が大きく変わってきているのです。

ならば指導者側も完全なビジネスとして捉え

考え方を変える時期がきたのではないかと

私はそう思っています。


これについては

某組織の在り方が歪んでしまったせいだと

思っているのですけどね。

ポイント制とか思わず笑っちゃいましたし

完全に身内だけの競争世界になっていて

ここまでくるともう終わったなと🫠


ストレートに言うなら先生もその組織へ

貢献するほど何かしらのメリットが得られる。

だからコンクールに特化している先生方が

ご自身もそこに時間、労力、お金をかけ、

かなりの投資をされていると思うので

その時点でビジネスに変わっているのですよ。


だからコンクールで稼ぎたいのなら

参加手数料として請求しても

間違ってはいないと私は思いますけどね。

お互いに割り切りが必要ではないかと。


ただし、先生側が自分の名誉の為や

ポジション欲しさで参加に圧をかけるなら

レッスン代以外は一切不要にするべきで

自分の為に生徒を駒にしてお金を取る行為は

やってはいけないと思います。


指導者として伝えるべき事はきちんと伝える。

そして曖昧なニュアンスでも伝えない。

その上で生徒さん親子にはコンクールは

どういう目的で参加したいのかを確かめて

導いていくのが本来のやり方で、誠意でもある

と思うのです。教育で稼ぐなら尚更。



そもそもレッスン以外の出費をケチる人は

クラシック界には向かない人達なのだから

そこはストレートに伝えてよいと思うのです。

オブラートに包んで曖昧に答える必要もない。


音楽の世界は上を目指すとなると

とんでもなくお金がかかってくる事ですし

マナーに関してもとても厳しいのです。


どんなに綺麗事を言おうがそれが現実で

それができない人は高みを目指せない世界。


そこに嫌悪感を抱くのであれば

趣味の習い事のまま終えるのが1番。


クラシック界の師弟関係というのは

誰がなんと言おうがそういうものなのですよ。


時代がどうであれ、高みを目指すとなると

恐らくこれは芸術だけの話ではないはず。

バレエなんかも恐らく同じですよね。

(娘が習っていた時はそうでした)



そしてこれも相談を受けた事があるのですが

「音楽の道を視野に入れ始めたのに

自分だけ上の先生を紹介していただけない」

というような事例。

これは本当に厳しい話になるのですが

それまで師事してきた先生に対する態度は

どうでした?これに尽きるかもしれません。


平気で失礼な態度をとる親子を紹介すると

先生ご自身も大恥をかく事になり、

ちょっと気に入らない事があったからと

盾をついていかれたりもしようものなら

自分の音楽人生までもが終わってしまう

と言っても過言ではない世界だからです。


自分に対して失礼な態度をとった親子が

上の先生だからと言って失礼な態度はとらない

という保証はどこにもないですからね。

本性は必ずどこかで出てしまいます。


これもまた先生方にとっては

別の意味で死活問題になってくる事なので

そう簡単には大先生を紹介できないのです。

この世界はそれくらいシビアなのです。

※ちなみにコンクール入賞目的の為だけの先生紹介や

地方で全て完結する場合にはまた違うのかもだけど

そこは私には経験がないのでわかりません。


周りからみると華やかにみえる世界ですが

これくらいはまだまだ序の口。


だからね、クラシック界に対する憧れが

お花畑のまま蝶々が飛んでいるうちは

とってもとっても厳しいのよ。


本人の実力、本当の意味で良い先生とのご縁、

親の姿勢や財力が大きく関係してくるので

これらに恵まれている子達だけがようやく

スタートラインに立てるのです。


更に厳しいことを言うなら

普段から師事している先生ご自身に経験がなく

ご存知ない事はそもそも教えてももらえない

という事でもあるのです。


まさに弱肉強食の世界。

親の情報収集力でも大きく差がつくのです。


これは音楽業界に限った事ではないので

いかに親自身が周りに流されないでいるかが

鍵になる事を私自身も子育てをしながら

学んできた事のひとつです。


親自身のブレない子育て。

これもとても大事だと思います。