ポリエステルの配合と攪拌、種類や粘度について。


ポリエステルの塗装方法には、二液塗装と三液塗装というものがあります。世界中のどこのメーカーのマニュアルでも同じようなものの筈です。


ポリエステルは、主剤・硬化剤・促進剤の三種類を使いますが、この三つを全て混ぜて吹き付けるのが三液塗装、主剤と硬化剤、主剤と促進剤の二種類を別々に作り、同量の二液を吹き付け直前に混ぜ合わせて使うのが、二液塗装と言います。


      ↑↑硬化剤↑↑

      ↓↓促進剤↓↓




数回に分けて重ね塗りする事で塗膜の厚みを増していくのですが、通常そのインターバルは15分ほどです。

三液塗装の場合、混ぜた時点で硬化が始まってしまい、インターバルの間にスプレーガンの中で固まってしまうリスクがあるので、手間はかかりますが、二液塗装の方がトラブルは少ないです。


また、配合率は厳格に行わないと、綺麗な吹き付けはできず、何よりも危険です。


硬化剤と促進剤の量が多すぎれば、塗料が数分で固まってしまい、スプレーガンの中でプリンのようになって、やがて石のように固まってしまい、最悪の場合、スプレーガンは二度と使えなくなります。

数分で済む準備時間をケチると、その100倍くらいの時間と莫大な経費が、すぐに吹っ飛んでしまいます。


逆に少なすぎると、何日経っても硬化が終わらず、一見固まっているように見えても、まだ硬化が進んでいるという状態になります。

この状態のままペーパーで研磨をすると、研いで粉状になったものがゆっくりと硬化が進み、熱を帯びて発火する事もあるので危険です。

前回の投稿にもある、火事によって廃業した塗装屋は、大体このパターンです。

またポリエステルの種類も、インパラフィンタイプとノンパラフィンタイプがあります。インパラタイプの方が若干価格が安いのですが、重ね塗りの時間管理をかなり厳密に行わないと、塗膜が積層のようになってしまう危険があります。安いけれど扱うには難しい塗料です。


ポリエステルの主剤。ウチでは下地用と上塗り用で、三つのメーカーの製品を使っています。

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また、綺麗な吹き付けのためには、塗料の粘度も重要です。綺麗な吹き付けができれば、研磨で削り取ってしまう量も減るので、歩留まりも良くなり経費が削減できます。

粘度は、職人の勘も素晴らしいのですが、ウチではそもそも塗装職人という自覚は持たないように意識し、極力勘に頼らない方法をとっています。


↓↓塗料の粘度を測る〈粘度カップ〉↓↓


↓↓塗料の配合率と粘度を記した配合表。