何か入ってくる。 | 大人ピアノと音楽さんぽ♪

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前回の続きです…


私は若いころから子宮筋腫がありましたが、
あるとき、それがずいぶんと大きくなってしまい
年に一度受けていた定期検診で「手術が必要かもしれません」とお医者様から話がありました。

 

紹介状を書いていただき、総合病院を受診しました。
すると「悪性かもしれません」とお医者様から話がありました。

 

良性であれば、さまざまな治療法が考えられますが
悪性となると命に関わるので、結局は子宮をすべて取る手術を選択しました。

良性か悪性かの確定は、摘出後の病理検査が必要でした。

 

全身麻酔の大きな手術は初めてだったり、
介護が必要な母のことも気になったり、
検査結果への不安や自分の身体の一部がなくなってしまうことの寂しさ、などありましたが、
友人や同僚が見舞ってくれたり、お医者様や看護師さんがとてもよくしてくださったりし
ありがたく思う毎日でもありました。


それにもうひとつ、私をいやしてくれる存在がありました。

その病院には、何年も前から家族もお世話になっていたので、毎月のように通っていて目にしていたのですが

なぜか廊下のすみに、グランドピアノがあったのです。
何年も誰にも弾かれることのないピアノのようでした。


病院に行くと、どうしても気になって、ピアノはいつもの場所にあるのか確かめずにいられませんでした。
入院中も毎日ピアノに会いに行きました。
その頃は私はピアノが弾けなかったので、ただ遠くからピアノの様子を眺めているだけです。


無事手術は終わったのですが、後遺症で腸閉塞が起こり入院が長引きました。
やがて、悪性ではないことが明確となり、無事退院することもできました。

 

入院中も、たびたび訪ねてくれた「夢」の雲の友達に
ぽろりと口をついて出たのは、「もとあったものがなくなるとやっぱりちょっとさびしい」というひとこと。


そんな私に、彼女は

「何かなくしたらさー、何か入ってくるんだよ。きっと、何か入ってくる」と
励ましてくれました。

 

退院後も腸閉塞が二度再発し、入退院を繰り返し、少しだけ早めに更年期障害もやってきてしまったのですが
そんなあれこれも、友人の言葉にずいぶんと救われたと思います。

「何かって、何かな?」と楽しみにしていることで…。

 

それで、いつのまにか友人の言葉も忘れていたのですが
近頃になって…

私のおなかのなかにやってきたのは、もしかしたらあのピアノなんじゃないかと思っているのです。

 

次回は、ピアノを再開した頃のことについてお話ししたいと思います。