不穏な世界情勢が続いています。

今日のロシア政治経済ジャーナル「中国が台湾に侵攻したら日本はどうする?」に、今の時点から日本が心がけるべきことについて、世界一の戦略家エドワード・ルトワック氏の見解が紹介されています。
基本的かつ重要な情報を押さえているように思われましたので、ご紹介します。

(以下引用)

(ロシア政治経済ジャーナル)読者のYさまから、ご質問をいただきました。

〈一点だけ、今回のメルマガで?と感じたのが、こちら日本は、どうするのでしょうか?

「安倍元総理、麻生元総理は、
台湾有事の際、日本はアメリカと共に台湾を守る
と断言しています。」の部分です。

安倍さん、麻生さんの言葉を引用されてますが、北野様もそうお考えのように感じます。

日本は憲法と自衛隊法制で、交戦権の否認、専守防衛ということで、自国が攻撃を受けた場合でさえ、防衛出動する要件が厳格に定められています。

隣りの友邦とはいえ、台湾が中国に侵攻されたとして、日本がその戦いに参加する法的根拠はないと思います。

安倍さん、麻生さんは心情的に本音を語ったのでしょうが、現実には法律上の壁があり、経済的、技術的な支援はするでしょうが、軍事的な参戦はあり得ないと思うのですが、いかがでしょうか?

それとも台湾侵攻と同時に、尖閣もしくは沖縄本島等にも侵攻してくるとお考えなのでしょうか?

お忙しいところ恐れ入りますが、ご教示頂けることを願っております。〉
ーー

まず、「法的根拠」ですが、2015年9月に成立したいわゆる「安保関連法」がそれにあたります。
これらの法律は、それまで日本が否定してきた集団的自衛権行使を認めています。
日本は存立危機事態の際、集団的自衛権を発動し、防衛出動、武力行使が可能です。

では、存立危機事態とは何でしょうか?

「日本と密接な関係にある他国に武力行使が発生し、
日本の存立が脅かされ、
国民の生命、自由、幸福追求権が根底から覆される明白な危機がある事態」です。

ところで、どういう状況が「存立危機事態」と呼べるのか、正直、「ものすごく具体的」とは言えないでしょう。
つまり、時の総理大臣が、「これは存立危機事態だ」と決断すれば、そうなってしまう可能性があります。

さて、故安倍元総理は2021年12月1日、台湾有事についての考えを語りました。
『産経新聞』2021年12月1日付。

〈安倍晋三元首相は1日、台湾のシンクタンク、国策研究院文教基金会が主催するシンポジウムでオンライン講演し、

「(中国による)台湾への武力侵攻は必ず日本の国土に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」

との認識を示した。〉
ーー

この発言から、安倍元総理は、「台湾有事の際、日本はアメリカと共に、台湾を守るために戦う」という意志があったことがわかります。

しかし、日本の総理大臣は、コロコロ変わります。

台湾有事の際、日本がどの程度台湾を助けるのか、それとも助けないのか。
それは、時の総理大臣の世界観、戦略観、大局観、国益観、親米か親中かなどによって左右されるのでしょう。

つまり、「日本が台湾有事の際どう動くかは、時の総理次第で、まだ決まっていない」ということになります。

▼日本が台湾を助けるべき理由

では、私自身は、どう考えているのでしょうか?

自衛隊が中国軍と直接対決するかはともかく。
日本は、少なくも、欧米がウクライナを支援するような形で、台湾を支援すべきと考えます。
つまり台湾が勝てるよう支援する。

なぜでしょうか?

1、中国が勝てば「世界一の親日国」台湾は、「世界有数の反日国」に変わる

日本政府は台湾を国家として認めていません。
しかし台湾は、「事実上」世界一の親日国です。
東日本大震災の後、世界一多い264億円の義援金を送ってくれました。

世界に親日国はたくさんありますが、台湾ほど熱烈な親日国は、他にありません。

しかし、もし台湾侵攻で中国が勝ったらどうなるでしょうか?
中国は、最優先で「反日教育」を開始するでしょう。

中国や韓国が、戦後78年経ってなお超反日なのは、「教育」が原因です。
実際中国は、江沢民が反日教育を始めるまで、それほど反日ではなかったのです。

台湾の子供達も、反日教育を受けて育てば、必ず反日に育っていくでしょう。

そして、中国の反日教育の恐ろしい結果。動画で見ることができます。
安倍元総理銃撃事件を寸劇にして爆笑する中国人高校生。

必見です。↓
https://www.youtube.com/watch?v=ZLYjCRIZzwg&t=134s

中国が台湾を支配するようになれば、台湾も同じ程度に反日になるでしょう。教育は、すべてを変えます。

2、中国が台湾を支配すれば、次に中国は、日本ー台湾戦争を起こす

日本と中国の間には、「尖閣問題」があります。

ところで、中国の主張、皆さんご存知でしょうか?

中国の主張は、

・尖閣諸島は、台湾に属する
・台湾は、中国に属する
・だから、尖閣は中国に属する  です。

日台関係が良好なので目立ちませんが、台湾も尖閣の領有権を主張しています。
もし中国が台湾侵攻に成功すれば、次に中国は、尖閣問題で台湾と日本が戦争するように仕むけるでしょう。
これで、日本と台湾の仲を、一夜にして引き裂くことができるからです。

3、そもそも日本は「他人事」ではいられない

これは、「日本が台湾を守る理由」とはいえませんが。

台湾有事の際、アメリカはどう動くのでしょうか? これは、起こってみるまでわかりません。

しかし、バイデン大統領は、これまで3回
「台湾有事の際、アメリカが台湾を守る!」
と断言しています。
3回とは、2021年10月、2022年5月、9月になります。

『BBC NEWS JAPAN』2022年9月19日付。

〈アメリカのジョー・バイデン大統領は18日、中国からの「前例のない攻撃」があった場合、アメリカは台湾を守ると再び発言した。

米CBSのインタビューの中でバイデン氏は、この発言が米軍が台湾を守るという意味かと質問され、「そうだ」と答えた。〉
ーー

この時、米軍は、どこから出動するのでしょうか?
当然、日本の米軍基地から出動するでしょう。
日本は、望む望まないにかかわらず「蚊帳の外」にはいられないのです。

▼世界一の戦略家ルトワックは、どう見る?

ここから「世界一の戦略家」と呼ばれるエドワード・ルトワック氏の見解をご紹介します。
出所は、全国民必読の名著『ラストエンペラー習近平』です。

まず、日本にとって、中国が台湾を武力併合する意味について。

〈もし北京が台湾を武力で併合すると、日本は安全保障面で多大な損失を被ることは間違いない。
台湾が占拠されてしまえば、自分たちが安全であるという感覚は劇的に失われることを、日本の政府も国民もよく理解している。〉(82p)
ーー

なぜ、バルト三国やポーランドは、熱心にウクライナを支援しつづけるのでしょうか?
「ウクライナが負ければ、次に侵略されるのは自分たちだ」という確信をもっているからです。

中国は、台湾を武力併合した後、日本を侵略するでしょうか? はっきりはわかりません。
しかし、中国は、「日本には沖縄の領有権はない!」と宣言している。

@必読証拠↓
https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf

だから、当然「可能性はある」といえるでしょう。

とはいえ、ルトワックさんは、「日本は米軍と共に、中国軍と一戦交えろ!」とは主張していません。

日本が正式に国交を結んでいるのは北京政府であり、日本と台湾が安保条約を結ぶことはありえないと指摘します。

つまり、

〈日本政府は中立の姿勢を崩すことなく、台湾を守るための努力に参加しなければならないのだ。〉
(82p)
ーー

では、日本の親中派が主張しているように、「日本は関係ない!関わらない!」という態度を見せたらどうなのでしょうか?

〈危機が起きたとき、日本が紛争に巻き込まれたくないという姿勢を見せた瞬間に、日米同盟は終わる。
それは日本の安全保障にとって、きわめて深刻な事態になるだろう。〉(83p)
ーー

日米同盟が破棄されれば、中国は速攻で尖閣を奪いに来るでしょう。
そして、「日本に領有権はない」と主張する沖縄にも侵攻するでしょう。

では、「中立」の立場の日本には、何ができるのでしょうか?
ルトワックさんは、いくつかのことを挙げています。

・沖縄の米軍基地を防衛する

中国が日本の米軍基地を攻撃すれば、日本は「自衛権」を発動し、参戦することが可能になる。
「日本参戦」を避けたい中国は、米軍基地を攻撃しにくくなる。

・日本の諜報機関、海上自衛隊、海上保安庁が、中国の艦船移動を監視し、アメリカに情報を提供する。

・海上自衛隊の艦船を近くの海域に派遣する。

・南西諸島に集中して、部隊を配備する。

・地対艦ミサイルを大量に購入する。

これを読むと、ルトワックさんのイメージは、
「日本は中立国の立場のまま、米軍と台湾を支援する」ということのようです。
いずれにしても、日本は、台湾を守るためにできることをするべきでしょう。

▼しかし、一番大切なことは

とはいえ、一番大切なことは、

台湾侵攻を起こさせないこと

です。その為にはどうしたらいいのでしょうか?

「中国ととにかく仲よくすれば」というのは、まったく解決策になりません。例があります。

2009年から2012年まで、「自虐史観」「平和ボケ」の民主党政権が続きました。
鳩山、菅、野田政権は、
「日本は、悪いことをした。とにかく謝罪しつづけるしかない」
という態度をとっていました。

それで、近隣諸国との関係はよくなったでしょうか?
実際は逆で、ボロボロになってしまったのです。

まず鳩山さんは、「トラストミー」問題で、日米関係を破壊しました。
「尖閣中国漁船衝突事件」と「尖閣国有化」で日中関係は最悪になりました。
「卑屈外交」で日本をあまく見たロシアのメドベージェフは、北方領土を訪問し、日露関係は劇的に悪化しました。
韓国李大統領は、弱気の日本政府を見くびり、
「日王(=天皇)が韓国に来たければ謝罪しろ!」
と暴言を吐き、日韓関係は最悪になりました。

「平和主義」の民主党政権は、日米、日中、日露、日韓関係をぶち壊したのです。
国民は、当時のトラウマから脱却できず、後継政党・立憲民主党の支持率は低迷しつづけています。

一方、「右翼」と呼ばれた安倍総理は、どうだったでしょうか?

安倍さんは、2015年4月、「希望の同盟演説」で日米関係を劇的に改善させました。
安倍さんは、リベラルなオバマとも、保守のトランプとも親友になったのです。

そして、2015年12月、慰安婦合意を成立させ、一時的に日韓関係を好転させました。

さらに2016年12月のプーチン訪日で、日露関係は劇的に改善されました。

「安倍にはかなわん」ということで、2019年頃には、日中関係も好転するようになっていきました。

民主党政権の失敗と安倍総理の成功からわかることは何でしょうか?
「ただの平和主義」では、どうにもならないということです。
相手は、安倍元総理の死を寸劇にし、全校生徒が爆笑しているような国です。

どうすればいいのでしょうか?

できることは、「バランスオブパワー」(勢力均衡)を回復し、中国が台湾侵攻を決断できない状況を作ることです。

・日本、アメリカ、オーストラリア、インドのクアッドを強化する。

・アメリカ、イギリス、オーストラリアの対中軍事同盟AUKUSを強化する。

・中国抜きの経済枠組みIPEFを強化する。

・民主主義サミットの影響力を高めていく。

これだけでは心配なので、バイデンは、「尖閣有事の際には、アメリカが台湾を守る」というのです。
これは、「台湾侵攻を煽っている」のではなく、「だから侵攻するなよ!」と止めているのです。
「台湾に侵攻すれば米軍が出てくる」と思えば、習近平もなかなか決断できないでしょう。

そして日本も、
「台湾有事の際には、日本もアメリカと共に台湾をできるかぎりサポートする」
というべきなのです。

習近平に、「日本、アメリカ、台湾と戦うのは、大変そうだ」と「思わせること」が抑止力になる。

私たちの目標は、「戦争をして中国に勝つこと」ではありません。

「台湾侵攻を起こさないこと」なのです。

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