前に「ウクライナ戦争の落としどころ」でご紹介したロシア政治経済ジャーナルの記事にも、中東戦争の可能性について言及がありました。

https://ameblo.jp/pianistin/entry-12818229609.html

10月7日にはハマスのイスラエル大規模攻撃。嫌な予感がしますね。

昨日の朝届いた『ロシア政治経済ジャーナル』で、北野幸伯さんがこの件について解説と予測を述べています。ご紹介したいと思います。

(以下引用)

皆さんご存知だと思いますが、パレスチナのハマスが、イスラエルに大規模攻撃を行いました。

『BBC NEWS JAPAN』2022年10月8日付。
〈パレスチナ自治区ガザ地区から7日早朝、イスラエルに向けて大量のロケット弾が発射されたほか、ガザ地区から武装組織メンバーがイスラエル内に侵入した。イスラエルによると、国内で少なくとも250人が死亡。パレスチナ側では約230人が死亡したという。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「これは戦争」だと宣言した。

ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの軍事部門トップは、「偉大な戦いの日」だとして、すべてのパレスチナ人に参加を呼びかけた。〉
ーー
ハマスによると10月7日、5000発(!)のミサイルを発射したそうです。
(イスラエル側は、3000発と見ている。)

そして、今回の攻撃が今までと違うのは、ハマスの武装勢力がイスラエル側に大挙して侵入したことです。
彼らはイスラエルの戦車を奪ったり、30人以上を人質にとったそうです。
そして、戦闘2日で、すでに1000人以上の犠牲者が出ているとのこと。

『NHK NEWS WEB』10月9日付。
〈パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエル側への攻撃とそれに対するイスラエル軍の報復作戦で、これまでに双方の死者はあわせて1000人を超えました。
イスラエル側の死者は、異例の規模に上っていて、事態のさらなる悪化が懸念されています。〉
ーー
今後、イスラエル北の隣国レバノンの武装組織ヒズボラやイランの動きに要注意です。

▼なぜ今?

ハマスは、なぜ今大規模攻撃を決断したのでしょうか?
一般的には、イスラエルとサウジアラビアの接近を止めるためと説明されています。

『ロイター』10月8日付。
〈イスラム組織ハマスが7日の大規模攻撃で狙ったのは、イスラエルだけではない。
この地域では、米国がイスラエルとサウジアラビアの関係正常化を後押しするなど新たな安全保障秩序の構築に向けた動きが活発化しており、ハマスにはパレスチナ国家樹立への希望を脅かしかねないこうした動きにくさびを打ち込む狙いがあったとみられる。〉
ーー
イスラエルとサウジアラビアが和解すると

「パレスチナ国家が樹立できなくなる」
「だから和解を阻止しなければ」
「だからイスラエルを攻撃した」

という解説がされています。

▼ハマス対イスラエルの争いが、第3次世界大戦に転化するロジック

ここからは、私自身の見解です。
あまりにも情報、証拠が不十分なので、主観、想像が混ざっていること、ご了承ください。
皆さん、9月9日号

「★イランの核兵器保有と次の戦争が近づいている?」

覚えておられますか? どういう話だったか、ポイントを書き出してみます。

・アメリカは、イラクを攻撃した2003年頃から、「イランは核兵器を保有しようとしている!」と非難してきた。

・しかし、アメリカ政府は2007年12月、IAEAは2009年7月、「イランが核兵器開発を行っている証拠はない」と認めた。

・2015年7月、オバマ政権は、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国と共に、イランと「核合意」を成立させた。

・イランは核開発を制限する見返りに、制裁を解除された。特に原油輸出ができるようになったことは大きかった。

・ところが、親イスラエルのトランプ政権は2018年5月、イラン核合意から一方的に離脱。同年8月制裁を復活させた。

・再び制裁下におかれたイラン。元々核兵器保有を目指す気はなかったが、ある時点で変心し、ウラン濃縮度をどんどんあげていった。

『時事』2023年3月5日。
〈イランを訪問した国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は4日、ウィーンの空港で記者会見し、イラン中部フォルドゥの核施設で核兵器級に近い濃縮度83.7%のウラン粒子が検出された問題について「その水準の濃縮ウランは蓄積されていない」と述べた。〉
ーー

・日本を代表するリアリスト伊藤貫先生によると、

「イランは、年内に核兵器を保有する可能性が高い。」
「イスラエルは、イランの核兵器保有を阻止するために先制攻撃すると宣言している。」

・9月16日、イランがIAEAの査察を拒否。

『日経新聞』9月17日付。
〈国際原子力機関(IAEA)は16日の声明で、イランからIAEAの一部査察官の受け入れを拒否すると通告があったことを明らかにした。査察官はウラン濃縮などを検証している。グロッシ事務局長は「強く非難する」と述べ、査察に深刻な影響が出るとして再考を求めた。国際社会の懸念が一層強まるのは必至だ。〉
ーー

・この動きは、
「いよいよ核兵器保有が近づいている。そのことがバレないようにIAEAの査察を拒否している」とも考えられる。そうであれば、伊藤貫先生が予測されているとおりに、
イスラエルがイランを先制攻撃
イスラエル─イラン戦争勃発
アメリカがイスラエル側にたって参戦

という方向に向かう可能性がある。

ここまでが「9月9日号」の概要です。

@全文はこちらからご一読ください。

https://www.mag2.com/p/news/584554

ここから今回のハマスによる大攻撃について。
ハマスは10月7日、「5000発のミサイルをイスラエルに発射した」としています。

ドイツの『DW』10月8日を見ていると、
https://www.youtube.com/watch?v=iCblEzsJGMg&t=840s

司会者が6分32秒頃から、「ハマスは、なぜこれほどの数のミサイルを持っているのでしょうか?」と質問しています。

これに対しイスラエルの軍事専門家ダビッド・シャルプは、言います。
「ミサイルは、イランからエジプト経由で密輸されている」
さらに、
「パレスチナのミサイルの専門家は、イランで教育を受けている」

そして、今回の攻撃は、イランが準備段階から協力し、ゴーサインを出したと報じられています。

『朝日新聞DIGITAL』2023年10月9日付。
〈米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8日、イスラム組織ハマスがイスラエルにしかけた大規模な攻撃はイランの関係者が準備段階から協力し、最終的なゴーサインを出したと報じた。
ハマスと、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部の話として伝えた。〉

〈WSJによると、イラン革命防衛隊のメンバーは8月から、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスと、イスラエルに向けた陸海空の侵攻について協議した。
レバノンの首都ベイルートで革命防衛隊やハマス、ヒズボラらのメンバーによる会議が重ねられ、攻撃の詳細が計画されたという。
最終決定の会合は2日にあったとしている。〉
ーー

今回の大規模攻撃の黒幕は、どうやらイランらしい。
ハマスの動機は、「イスラエルとサウジの和解を阻止すること」かもしれません。
しかし、黒幕イランの動機は?

もうおわかりだと思いますが、もう一度。

・2018年、トランプ政権は、イラン核合意から一方的に離脱し、制裁を復活させた。

・再び原油輸出ができなくなったイランは、方針を転換し、核兵器保有を決断した。

・今年3月時点で、ウラン濃縮度は80%を超えた。

・9月時点で、IAEAの査察を拒否したのは、いよいよ濃縮度90%を超え、核兵器保有が近づいたからかもしれない。

・イスラエルは、「イランが核兵器を保有する前に先制攻撃する」と宣言している。

・イランは当然、「イスラエルが近い将来、イランの核施設を攻撃するだろう」と警戒する。

・「やられる前にやってしまえ!」
イランは、ハマスと共にイスラエル攻撃のプランを練った。

・10月7日、イランからゴーサインを得たハマスは、イスラエルへの大規模攻撃を実行した。

こんなシナリオが考えられます。

つまり、イスラエル対ハマスの戦争は、イスラエル対イランの戦争に転化する可能性がある。

それだけではありません。イスラエルを支援するであろうアメリカは、

ウクライナーロシア戦争、

イスラエルーイラン戦争

の二正面作戦を強いられる。

この状況、習近平にとっては「千載一遇のチャンス」になり得ます。
二正面で戦うアメリカは、中国が台湾侵攻を決断したとして、それを阻止する力が残っていない。
習近平がそう考える可能性は大いにあります。

その時習近平は、金正恩に、
「アメリカは、ウクライナ、中東戦争で忙しい。中国が台湾に侵攻するから、その時、北朝鮮は、韓国に侵攻しちゃいなよ! 今なら、アメリカ出てこれないよ! 楽勝でしょ!」と誘うかもしれない。
というわけで、今回のハマスによるイスラエル大規模攻撃は、

・イスラエルーイラン戦争

・中国ー台湾戦争

・北朝鮮ー韓国戦争

を誘発する可能性があるのです。

ウクライナ戦争を含めて、4つの大戦争が同時に起こる可能性がある。

つまり、第3次世界大戦が起こり得る。

そうならないことを、心から願いましょう。


人気ブログランキング