民間軍事会社ワグネルの創設者、プリゴジンがウクライナ開戦の理由は嘘だ!と暴露したようです。
以下、北野幸伯さん発行『ロシア政治経済ジャーナル』より引用します。

(以下引用)

ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジンが、また「すごいこと」をいっています。

なんと、ウクライナ戦争の開戦理由はウソだ!と暴露したのです。

ウクライナ戦争の開戦理由とは、何でしょうか? いろいろありますが、今までいわれているのは、

・ウクライナのNATO加盟を阻止すること。

・ルガンスク州、ドネツク州で迫害されているロシア系住民を救うこと。

・ウクライナの非ナチス化、非軍事化。

・ロシアが先制攻撃しなければ、ウクライナがロシアに攻め込んできただろう。

ちなみに4つ目の理由は、開戦当初ではなく、2か月以上経ってから出てきました。

これらのうち、プリゴジンは、どの理由を「ウソだ」と暴露したのでしょうか?

TBS NEWS DIG 6月24日。

<ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者は、ウクライナ侵攻について

「ロシア国防省がプーチン大統領をだまして始めた」

と主張する新たな動画を公開しました。

「ワグネル」創設者 プリゴジン氏

「国防省は国民と大統領をだましている。特別軍事作戦は全く異なる理由で開始された」

プリゴジン氏は23日に公開した動画で、プーチン大統領が侵攻開始にあたり、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構の支援を受け、ロシアを攻撃する脅威が高まっているなどと主張したことについて、

「そのような異変はなかった」

と否定しました。

そのうえで、ショイグ国防相や「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥が「自分たちの利益のために戦争を始めた」と強調しました。

これまでもショイグ国防相らを厳しく批判してきましたが、今回は侵攻そのものをめぐる政権の主張を否定した形で波紋を呼びそうです。>

@映像も必見です。

https://www.youtube.com/watch?v=cbn5mLXeV5U

要するにプリゴジンは、「4番目の理由」

<・ロシアが先制攻撃しなければ、ウクライナがロシアに攻め込んできただろう。>

について、ウソだと暴露したのです。
一応、ウソをついたのは、プーチンではなく、国防省、つまりショイグ国防相だと主張しています。

「ウクライナ侵略の理由が大うそであること」昔からのRPE読者さんは、ご存知だったでしょう。
たとえばウクライナ侵攻がはじまる8日前、私は現代ビジネスで、イヴァショフ上級大将の見解を紹介していました。

<イヴァショフは、プーチンが強調している「外からの脅威」を否定しない。
しかし、それは、ロシアの生存を脅かすほどではないとしている。

< 全体として、戦略的安定性は維持されており、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強しておらず、脅迫的な活動をしていない >

@記事全文はこちら↓
https://gendai.media/articles/-/92504?imp=0

プリゴジンの暴露は、結局イヴァショフの主張が正しかったことを示しています。

▼追い詰められるプリゴジン

さて、プリゴジンはこれまで、さまざま「ヤバイ発言」をしてきました。

有名なところを挙げれば、5月5日、鬼の形相で、

「弾薬の70%が不足している!
ショイグ!(国防相)
ゲラシモフ!(参謀総長)
弾薬はどこだ~~~~~!?!?!?!?!」

5月9日には、プーチンのことを「おじいさん」、「ザコンチェンニー・ムダック」(日本のメディアは「クソ馬鹿野郎」と訳していました。)と呼びました。

これでほとんどの人は、「プリゴジン終わった!」と感じたのです。ロシアでプーチンを批判する人の運命は、決まっている。

その後、プリゴジンは、どう動いたのでしょうか?

・5月20日、プリゴジン、「バフムト完全制圧宣言」。プーチンも祝意。
・5月25日、ワグネル、バフムトからの撤退開始。
・6月1日、ワグネル、バフムトをロシア軍に引き渡す。

プリゴジンが前線から撤退したことは、彼の立場を弱めました。なぜでしょうか?

プリゴジンが極めて無礼な発言をし、なおかつ自由でいられたのは、ワグネルがロシアの最強戦力だったからです。前線にいないプリゴジンは、「ただの反逆者」に過ぎません。

プリゴジンの敵国防省は、攻勢をかけます。ワグネルを支配下に置こうと試みたのです。
6月13日共同。

<ロシア国防省は13日までに、直接の管轄下にない志願兵部隊などと7月1日までに契約を交わし、ロシア軍と同様に扱う方針を明らかにした。ウクライナの反転攻勢が本格化する中、正規軍と志願兵部隊の足並みの乱れを正し、統制強化を図る狙いとみられる。>

これに対し、プリゴジンは、どういう反応だったのでしょうか???

<これに対し民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は反発し、契約を拒否する姿勢を示した。>(同上)

<プリゴジン氏は11日「ショイグ(国防相)といかなる契約もしない」と表明。ショイグ氏は軍を「正常に管理できない」と改めて批判した。>(同上)

ショイグは、彼を「管理したい」と願いましたが、うまくいきませんでした。
そこで、プーチン自身が登場します。
ロイター6月14日。

< ロシア国防省がウクライナで戦う志願兵部隊に対して今月中に同省と契約を結ぶよう命じたことについて、プーチン大統領は13日、命令への支持を表明した。記者団に語った。>

つまりプーチンは、「ワグネルが国防省、ロシア軍の管理下に入ること」を支持した。
つまり、プーチンはプリゴジンに、「国防省、ロシア軍の支配下に入れ!」と命令した。

プリゴジンは、どうしたのでしょうか?
なんと、プーチンの命令を聞かなかったのです。

そして、FSBがプリゴジン退治に動きはじめます。
共同6月24日。

<ロシアの国家テロ対策委員会は23日、民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が「武装反乱の呼びかけ」をしたとして連邦保安局(FSB)が捜査に着手したと発表した。ロシア主要メディアが伝えた。>

というわけで、プリゴジン、追い詰められてきました。

彼は80年代、ほとんどの期間、刑務所暮らしだった。
90年代にホットドック屋からはじめ、スーパーマーケット、カジノ、レストランなどを立ち上げて大儲け。
2014年、ワグネルを立ち上げた。
2022年、23年、ワグネルを率い、前線で大活躍。ロシアの極右勢力から、プーチン以上の支持を受けるようになった。

彼の「成り上がり人生」は、ここで終わるのでしょうか?
プリゴジンが逮捕される、あるいは殺害される可能性は日に日に高まっています。

(引用ここまで)

プリゴジン捜査開始について

https://www.youtube.com/watch?v=9VTgX33wo6c