シチリア南東部の旅6 〜カターニア〜 | イタリア料理レシピと旅記録 un piatto pieno di ricordi

イタリア料理レシピと旅記録 un piatto pieno di ricordi

2007年から4年半のイタリア生活を終え2011年に帰国。30ヶ国以上の国とイタリア20州全てを旅して各地で食べた思い出の料理や
気になったレシピを元に家庭で手軽に作れるようアレンジして日々お料理を楽しんでいます。

 

今回の旅行の最後の目的地カターニア。

明日の早朝までしか居られないので滞在時間は24時間を切ってます。効率よく過ごすぞ〜。

モディカから高速に乗って2時間弱でカターニアに着くはず...でしたがそうは問屋が卸しませんでした。この日はあいにく政治関連のデモが行われており、高速道路の一部が封鎖されていたのです。高速に入ってしばらく走ると警察の指示で「通行止めです、迂回してください」と言われ、このくだりを何度も繰り返しているうちに時間だけが過ぎていきました。たまりかねたカターニアのホテルから「何時ごろ到着すんの?」と電話がかかってきて気が気じゃないし、あっちこもこっちも道路がブロックされているしガーン

ホテルというかB&Bなので鍵の受け渡しをして早く帰りたいんでしょうね。

ごめんねえ〜タラー安全運転で急ぎます。

 

 

必死こいて向かっている途中B&Bから「まだー?」と電話が3回くらい。

「今向かってます」としか答えようがない。待っとれ。

そうこうしているうちにエトナ山が見えてきました。よし。カターニアはもう目と鼻の先。

まずレンタカーをカターニアの空港で返却し、タクシーで街へ移動。いつもサッと返して一瞬で終わりなのに今回に限ってなんだかややこしい。

「フロントガラスに小石が当たったような傷がついている」と言われ、そこから保険の手続きに必要な書類を書かされたりして更に30分浪費。

あああ...カターニアの観光時間とB&Bの人の帰る時間がどんどん遅くなっていく。

 

 

やっとホテルに着き、鍵をもらったのでまずは腹ごしらえから。

大学広場からエトネーア通りの一部が歩行者天国になっていました。

午前中マラソンがあったみたいです。

 

 

お昼を食べにいく道すがら目にしたベスパ。めっちゃカラフル!

シチリアの伝統的な人形劇プーピのデザインがほどこされています。

 

 

 

エトネーア通りに面したホテルPALACE CATANIAの屋上で絶景ランチをとるつもりで

行ってみたら「ランチタイム終了」ですって。ショック〜ガーン

肩を落とす我々を見て「ピアディーナでもよかったら作れるけど?」とやさしい提案を頂きました。日本のカフェでも時々ピアディーナを見かけますので、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますがタコスのようなナンのような、うっすい生地に具を挟んだものです。

エトナ山を見ながらここで食べられるならなんでもOKでーす。

本当に本当にありがとうございます乙女のトキメキ

 

 

 

さて街歩き開始。他のイタリアの街にくらべて建造物が黒っぽいので異国情緒たっぷり。

前回カターニアに来たのは15年ほど前ですが、記憶通り黒い建物だらけ。

まずはサンタ・アガタ大聖堂から。名前の通りサンタ・アガタに捧げられた教会です。逸話に少しふれておきますと、時の皇帝がキリスト教徒に棄教するよう勅令を出し、それを執行するためカターニアに赴任した総領事がキリスト教徒を迫害します。アガタという女性もキリスト教徒だったため棄教を迫られますが拒否したため投獄され、拷問のすえ獄死。彼女の死後、街はエトナ山の噴火に見舞われ、噴火を止めたい市民は大聖堂に趣き、彼女のベールを外して流れ出る溶岩の近くへ運びました。しばらくすると溶岩の流れは止まり、その日はくしくも彼女が殉教した2月5日だったとのこと。伝説によるとカターニアの街は15回以上、聖なるベールのおかげで噴火の被害を免れたと言われています。ベールは今も銀の棺に納められて大切に保管されているそうです。

 

 

同じく広場に面したカターニアの市庁舎エレファンティ宮へ。

写真は入り口の石畳にある象のレリーフで、"A"はサンタ・アガタのイニシャルだそうです。奥に立入り禁止の中庭が鉄格子のすき間から見えていました。花壇の中心には小さい象さん。おまわりさんがいたので、ちょっと話しかけてみたら「中庭に入れてあげるよ」と鉄格子を開けてくれました。さすがイタリアラブラブ

 

 

写真右は、この中庭へ入れてくれたおまわりさんの帽子。ついでに写っている手はおまわりさんの手。私の手はこんなにごっつくない。王冠と盾の中心にいる象、下部の「S.P.Q.C.」の文字で構成される紋章はカターニア市の紋章だそうです。ドゥオモ広場の中心にある象とオベリスクでできた噴水しかり、カターニアではあちこちで象のモチーフをみかけます。

シチリアがギリシャの植民地だった頃より前の時代、シチリアには小型の象が生息していたそうです。人々が暮らすテリトリーに象がいると危険なので、住み分けのため生活のテリトリーから象を追い出したことから、象に敬意をはらって街のシンボルになったと言われているそうです。

 

 

市庁舎のある広場から15分ほど歩いてサン・ニコロ教会へ移動している途中に出会った観光用の何だろう...列車型電気自動車??動力が何かわかりませんが市街の見どころを循環しているみたい。徒歩で散策する派ですが可愛いので一回くらい乗ってみてもよかったかも。

 

 

サン・ニコロ教会に到着。修道院と並んで建ってます。

 

 

 

教会内の床に作られた日時計。( meridiana dei benedettini )

教会内のサン・ベネデット礼拝所からサン・ニコラ礼拝所まで南北に線が引かれています。

理科の授業で見たような日時計ではなく、教会のドームの中心から差し込んでくる太陽の光が日時計の線に達すると正午だと分かる仕組み。また線は365分割されており、日付けや冬至、夏至も知ることができるようになっています。その他にも地理、天文、測地や測量のデータもこの日時計から読み取れるそうで、イタリアにおいて最も多機能な日時計と言われていると書かれておりました。

 

 

私の双子座と、夫が蟹座なのでそちらもパシャリカメラ

余談ですがこの大理石はカッラーラ産で、広島の平和記念資料館のエントランスに展示されているモニュメントもカッラーラの大理石で作られています。不思議なつながり乙女のトキメキ

星座の象嵌に使われている赤い石はカターニア近郊のミリテッロでとれた溶岩を使用しているそうです。

 

 

つづきましてウルシーノ城。

シチリア東部の守りを固める城塞としてフェデリコ2世により築かれました。今は完全に陸地に建っていますが昔は岬のような場所で湾に面して建っていたようです。経済的困難からカターニアの他の大規模な工事は中断しているにもかかわらず、この城塞だけは短期間で落成させたとのこと。カターニアの街の防御に欠かせないと判断したのでしょうかね。

でも、海上の防災を司る城壁として築かれたにも関わらず今は海に面していないというのは何故なんでしょう。説明書きを読んだ限りでは1669年の噴火により大量に流れ出た溶岩が城を取り囲み、海岸を埋め立ててしまったと個人的に解釈しました。「溶岩に押し流された」という記述も見かけますが、イタリア語のwikipediaに掲載されている古い絵を拝見したところ、エトナ山から流れ出た溶岩が城を取り囲みながら海へ流れ出ている感じでしたので、押し流したというより城の周辺が埋め立てられて海岸線が移動したと解釈する方が自然かなと思いました。どなたか詳しくご存知でしたらご教示ください。長い歴史の中で城の用途は王宮、スペインの総督官邸、刑務所、兵舎、など様々な目的に使用され現在は博物館になっているそうです。残念ながら時間がなかったので内部は見ずにおいとましました。

 

 

最後にローマ帝国時代の円形闘技場の遺跡(Anfiteatro romano )を見て街歩き終了。

闘技場の一部しか残っていませんがイタリアらしく街の中に当たり前のようにあります。周りに近代的な建物があり車がガンガン走っていますが、当時このあたりは墓地だったそうです。明日は早朝に出発なので、安心してワインが飲めるようシラフのうちに荷造りをすませに、いったんホテルへ。

 

 

泊まっているB&Bから歩いてすぐそばの"DOC"というエノテカで軽めの夕食。エノテカというよりカクテルを飲むバーみたいな店構えだったので「ここは違うなあ」と通りすぎようとした時、夫が店の奥にワインボトルがズラッと鎮座しているのを見つけて、試しに入って1杯だけ飲もうということに。せっかくシチリアに来たんだからとあれこれおすすめのワインをレクチャーしてくれ、気がつけばどっかりと腰を落ち着けていました。軽めと言っても最後の夜なもんでワインだけはグイグイいきまして、それはそれは良い気分で夜風に当たりながらドゥオモの周りを散歩して帰りました。

あ!そうだ。シチリアに来たのにまだちゃんとしたドルチェを食べてないカップケーキチョコカップケーキ

 

 

ということで寄り道してケーキ屋さんに。写真の露出の加減で白っぽくなってしまってますが、下段右端にひとくちサイズのカッサータがあったのでテイクアウトしてホテルで頂きました。

寝る前だったけどいいや。なかなか来れないんだし。

 

 

滞在したB&Bは広場に面していたので、窓からこの景色が楽しめました。

これは起床直後、午前4時半頃の写真。さ、身支度して出発せねば。

 

 

カターニアからローマへ移動し、フィウミチーノ空港定番のジェラート食べ納めの儀。

きっぱりピスタチオ一択です乙女のトキメキ

次回のイタリア旅行へ思いを馳せながらしばしのお別れ、お名残惜しい〜。

また来まーすイタリア