10年ほど前、主人のお供でトロントへ行った。
そこでは、大きな国際会議が開かれていて、知人も多く参加していて、色々楽しい思い出がある。
私達同伴者の為のプログラムも、「ナイヤガラの滝」をはじめ、いくつか企画されていて、初日の午後には、半日コースで市内をバスで巡る観光があった。
私は、見知らぬ街で、市場やデパートを覗くのが好きだ。市民の生活が、垣間見られる気がするから・・。
市内観光で、大きな市場が、ホテルから歩いて行ける距離にあるのがわかって、私は「ナイヤガラ行」の一日ツァーは参加せずに、翌日は一人で街を歩きまわった。
カナダに住んでいた時、新鮮なロブスターの美味しさに目覚めた記憶が新しかったので、今回も楽しみにしていたのだ。
トロントの市場は、どでかい倉庫の様な建物の中に、野菜やお肉などを売る店が立ち並び、その他にも結構魚屋が何軒もあって、中には、ロブスターを茹でてくれるという、魅惑的な看板も目に入った。
これこそ、漠然と私が探し求めていたものだった。
訊いてみると、20分くらい待てば茹であがるという。
ウィークデーの午前中で、余り人も居なかったから、お店の人も親切に対応してくれた。
一番大きなロブスターを頼んで、周りを見物しながら,茹であがるのを待つ。
暫くしてそのお店に戻ると、茹であがったロブスターを解体してお皿に載せてくれたおじさんは、「この上に、レモンを絞って食べると美味しいよ」と言う。
そうだ、レストランでは、熱々のガーリックバターをかけて食べるのが一般的だったけど、レモンも、いけそうだなあ。
その足で、果実屋さんへ直行したのは言うまでもない。
お店では、絞りやすい様にレモンを半分に切って貰った。
屋外に出ると、建物沿いにテーブルとイスが並んでいて、軽い食事がとれるようになっていた。
そろそろ、早目のお昼の時間だったので、できたてのパンも調達して、更に欲を出して、隅の方にあったバーに入って、ビールをテイクアウトできるかと訊いてみた。
すると、「「お店の外で飲むのは違法なので、テイクアウトで売る訳には行かないのです」と言われて、飲み物はジンジャーエールで妥協。
たとえバーの中に座って、ビールを飲んだとしても、大切なロブスターは持ち込めない。
まさに、本末転倒である。
太陽の下で、ピクニック気分に浸りながら食べたランチの、贅沢だった事!
カナダでは、昔住んでいた場所を訪れたり、ずっと探していた本が手に入ったり、一週間ほどの滞在ながらとても充実していたけれど、何といってもその日の「手探り、ロブスター・ランチ」が、一番思い出深い。
後日談として、当時通っていた英会話クラスの先生がトロントの人だったので、アルコールのテイクアウトが出来なかった話をすると、彼はむしろ、日本でビールの自販機があったり、お花見など外でアルコールを飲む人達の様子を見て、文化の違い(法の違い?)に驚いたそうだ。