美術館の企画展というのは、実際に見る前に、内容を判断するのは難しい。
かつて、ダヴィンチの「受胎告知」が東京の国立博物館で展示されていて、見に行った事がある。
入場料金はそれなりに結構な値段であったが、フィレンツェまで見に行くことを思えば安いよな、と自分に言い訳をしながら中へと入ったのだが・・。
企画展の展示が、只その作品一点だけというのは、まあ名作なだけに納得したけれど、驚いたのは美術展だというのに「立ち止まらないでください!」というアナウンス。
そんな事は、入場する前には、予想だにしないことだった・・。
静岡まで見に行った「シャガール展」も、殆どがパリのオペラ座の天井画の下絵だったり、ニースにある国立美術館所蔵の、旧約聖書を題材にした大作の下絵だった、というのは、これも入場してみるまでは、分からなかった・・。
実際にパリのオペラ座・ガルニエ宮で見た 高くて遠い天井画ではわからなかった細部が、その下絵をじっくり見ることで楽しめたのだから、それなりの満足はあったけれど・・。
今日の、ミレー展も、「種をまく人」というのが目玉だったらしいが、実際の作品は、コピーされたものに比べて実に暗い色調だった。
多分、本物の作品には、強い光線を当てられない、といった制約があるのかもしれないけれど・・。
ミレーの作品と言えば、「晩鐘」や、「落ち穂拾い」が有名だが、オルセー美術館に所蔵されているそれらの作品の事は忘れてしまいそうな、あたかも「種をまく人」が代表作であるかの様なふれこみ、と思ったのは私の早とちりだったのだろうか・・。
その辺をあらかじめ認識したうえで、出かけて行くのが大人の常識なのに、思えば私の頭の中は「ミレーの作品展!」で一杯になってしまっていた様だ。
世界に只一点しかない芸術作品を、極東まで運んでくるのは、大変なことなのに・・。
やはり、美術作品やオペラなどの舞台は、そのあるべき場所で見なくては、中々満足は味わえない、という事を踏まえて見に行くべきだったのだ。
いつも、企画展を見る度に反省するのだが、中々学習できないシニアである。