前回の続きを書こうと思っているところへ、先月末に行ってきたリサイタル・・・ガヴリーロフの演奏で胸がいっぱいになっておりました。

今までに自分が体験した感動の涙っていうのがあるけれど、今回初めて、今までにない新しい感情によって滲み出たもの・・・
その涙は、初めて生で耳にしたガヴリーロフの、ピアノの前に座るなり弾き始めた最初のワンフレーズが終わらないうちに溢れていました。

・・・世にも美しい響き。



ピアノを弾くために作り上げられたような大きな身体と、筋肉と関節のしなやかな動き。
その身体がもう楽器としてすでに鳴っていてステージに現れ、触れるや否やピアノと一体になる、その姿に圧倒される。

待ち焦がれたガヴリーロフの音は、最初のワンフレーズで一気に私の現実の全てを奪い捨て、魂ひとつにしてしまいました。

所狭しとホールに鳴り響くロシアピアニズムの正体!開眼ならぬ、開耳!!

弾きながら時々客席にチラリと視線を向けて、まるで「楽しんでくれてるかい?」とでも言っているような微笑みと仕草。
そして「僕はとっても楽しいよ!」と、更なる唸りを聴かせてくれる。
そう、爆音というより、人の唸り声のよう。

ピアノが多様な色を放ちながら語り、叫び、そして甘える。
これはガヴリーロフが "生きもの" としてピアノと接している、そんな証だと思いました。

耳と目を見張り、釘付けになる私の全身全霊。
演奏後のチャーミングな投げキッスにお人柄を感じる瞬間もたまりませんでした。

そしてアンコール ショパンにまた涙する・・・


変幻自在な「生きた音」が、ドキドキワクワク
そして身体中に沁み渡る・・・














さて本題。

前回「打楽器」のお話で、いい音を飛ばす という事を書きましたが、そもそも楽器の音というのは、その響きが飛んで届かなければ伝わらない。

点で感じるか、線で感じるか、ということがよく話題になります。どちらも私はあると思います。しかし前回の打楽器的奏法により、明らかに「点で放つ」感覚が、ピアノという楽器の魅力を引き出すための一つのポイントとなるはずです。
何故なら、一音一音減衰する楽器は、一音を飛ばした後の響きが次の一音との間を「繋いで線を描く」からです。

音が目に見えるとしたら、線は点の集合と言われる(異論はあるようですが、私は信じます 笑)のと同じかもしれません。イメージとしては、それが放物線を描くように。

ピアノの場合、美しいレガートの正体は、点と点で響き繋がったものの結果であり、究極のスラーとなって現れる。




「どうやったらあんな美しいレガートになるのだろう?」と衝撃を受けるピアニストは、昔からいつも決まって
ホロヴィッツ、ソコロフ、プレトニョフ、そしてガヴリーロフ など。
とにかく、レガート奏法の根本的なものが明らかに違うことだけは、タッチを見て分かっていた。

皮肉なもので、
フォーカルジストニアとして全身から指先へ ピアノへとパズルを繋いでいって初めて、その正体の断片が見えてくる。
逆を辿れば、「触感技術」は、身体が支えてくれるのである。そして新たな神経回路を作り出す。

そして可笑しなことに、
年齢は関係ない。
ピアノを愛する、情熱さえあれば。

ピアノの前にいる自分はどう在るべきか?までも問うようになり、そこから、色んな自分とピアノという楽器の特色をマッチさせていく、という愉しみが湧いてくる。

新しい神経回路が生まれる瞬間は、それは健気で弱々しく見えるけれど、しかし辻褄がきちんと合ったような真新しい自分。
もし不安を覚えるなら、概成の自分が悪魔の微笑みを浮かべているだけだ。

今となっては、信ずるべき私のジストニア。

愛すべき私のジストニア。














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