前回の続きを書きますので、読んで貰えると嬉しいです。

 

夫は11月中に退院出来ると思って、日々耐えていたのですが、点滴ポート手術が11/29になってしまい、11月末の退院は難しいことが分かりました。

 

「いったいいつ退院出来るのだろう」と先が見えず、とてもがっかりしていました。

入院生活はとても過酷で早く帰りたい気持ちは痛いほど分かりますが、今自宅に戻ってきても食事や体調管理が難しいと思いました。

1日も早く帰ってきて欲しい反面、私に、ちゃんと夫の看護が出来るのか不安でした。

夫が経口摂取を開始した頃から、ネットで短腸症候群の食事について調べていました。

あまり情報がなく、何でも食べて大丈夫と言っているものもありますが、固形物は一切食べられないという人もいます。

 

ある動画を発見しました。

クローン病から短腸症候群になってしまった、成人男性の日々の生活や色々な体験を動画で話してくれます。

毎日10時間の栄養点滴をしています。食事は一切摂らず、エレンタールとジュースだけの生活です。

その方は毎日通勤していて、食事を摂るとトイレ問題が大変なようで、食事を摂ることを諦めたそうです。

また、点滴の取り付け方や新薬レベスティブ注射の打ちかた、ポート感染で入院した話など、今後とても役立ちそうな内容だったので、食い入るように見ていました。

今はその動画も無くなってしまい、その方がどうなってしまったか分かりません。

 

食事について考えても分からないので、病院で出される食事をヒントに考えようと思いましたが、病院食は、野菜をミキサーで砕いて、さらに絞った汁のようなもので、味はほとんどないそうです。

 

唯一夫が食べられたものは、プリン、ゼリー、ヨーグルト、茶碗蒸しで、こちらは市販のものです。

しかし、朝昼晩と毎日食べ続けていた為、もう飽きてしまったようです。

 

消化に良いものと考えたときに思いつくのが、お粥や湯豆腐、煮魚のようなものですが、病院では一切出ないので、どうしたらいいのか悩みました。

夫は好き嫌いが無く、なんでも美味しく食べる人です。そんな夫が殆ど食べずに残していることに、とても心配しました。

 

術後医者が話していたことを思い出しました。3週間絶食だったので、小腸も大腸もコチコチになって、縫合するのが大変だったと言っていました。

食事が摂れなくなったら、腸を動かさないので、あっという間に固くなって、動かなくなってしまいます。また、腸管の絨毛も発達しないので、栄養が吸収出来なくなってしまいます。

なんとか、夫が美味しく食べられるものを考えないとと焦っていました。

 

12/2 栄養点滴を24時間から10時間にすることになりました。

夜寝ている時間で済むので日中かなり自由になります。

これなら日中外出することが出来るかもしれません。

これは凄いことです。話を聞いて涙がでました。また一緒に散歩したり、買い物したり出来るようになるかもしれない。

 

12/5  退院後は訪問医療を使うことになると、看護師さんから言われたそうです。

この病院で外科医(副医院長)として働いていた先生で、看護師さんいわく、「凄く優しい先生だよ。話をよく聞いてくれるので、色々相談してみて」と言われたそうです。

今の担当医は患者に厳しいので、話を聞いてくれる先生を紹介してもらえて良かったと思いました。同時に在宅医療を使うということは、相当病気が重いということなので、自宅に帰っても油断出来ないと思いました。

 

12/8突然退院が決まりました。

退院日は12/10の2日後に決定しました。

退院日に在宅医療の先生、看護師が顔合わせで我が家に来てくれると言っていました。

夫は待ちに待った退院で大喜びでした。

私もやっと夫に会えるので嬉しくてたまらなかったです。

一気にエネルギーが上がり、家の掃除を徹底的にやりました。

夫の大好きなこたつも出しました。

キレイにした家で美味しいものを作って待っていようと思いました。

 

夫に食べたいものを聞くと、庭に植えているみかんが食べたいと言っていました。

毎年美味しい実をつけてくれるみかんは、夫のエネルギー源になるかもしれません。

あと、お粥と肉が食べたいと言っていました。

病院で液体のものしか口にしていなかったので、肉の塊を食べることは難しいですが、鳥のテリーヌならペースト状に砕くので一口位なら食べられるかなと思いました。

 

退院当日、迎えに行くと、かなり痩せた夫の姿が見えました。

戦場帰りのようなそんな雰囲気で、以前とは別人のように表情が無くなっていました。入院中辛いことばかりで、2ヶ月間笑わなかったんだなと思いました。

夫は挨拶もそこそこで、とても急いでいました。一刻も早く家に帰りたいと言って

バタバタと動いていました。

 

この日に、障害者手帳の申請手続きについて聞きました。

正直ショックでした。私の夫は障害者になってしまったんだと。

あんなに元気だったのに。胸が苦しくなりました。

でも、私以上に夫の方がショックを受けているので、暗い顔は出来ません。

これから沢山の困難を乗り越えなければならないので、現実受け止めて、出来る限りの楽しい時間を過ごさないといけない。そう心に誓いました。

こうして生きて帰ってくれたことを心から喜びました。

 

この続きは次回書きますので、また読んでもらえると嬉しいです。

このときの心境を趣味のピアノで弾いてみました。

下手な演奏ですが聴いて下さい。