前回の続きを書きます

 

医者から一通り説明をしてもらい、私は質問しました。

 

私:「残存小腸40センチだと、食事を摂るとどうなってしまうのでしょうか。」

医者:「おにぎりを食べればそのまま出てきてしまいます。肉や魚や野菜も同様。食べても直ぐに出てきてしまうので本人はとても辛いと思います。

ほとんどの方は食べることを諦めてしまいます。」

 

私:「食事が摂れず点滴のみの場合、やはり余命2年になってしまうんですか。」

医者:「私が診てきた患者さん達はだいたい2年位でした。但しどの患者さんも70才を超えているので、体力的な問題もありました。口から少しでも摂取できれば、もう少し長く生きることが出来るかもしれません。」

 

私:「もし、食事を摂ることが出来るようになった場合、あとどれくらい生きられますか。本人はあと30年生きると言っています。」

医者:「小腸で栄養を吸収するので、40センチの小腸だと殆ど吸収出来ませが、口から食事を摂ることで、腸の中の絨毛が発達していきます。新薬も使うので、絨毛が増えればそれだけ栄養を吸収出来るようになります。食事が摂れれば、あと10年は生きられますよ。30年は分かりません。」(笑)

 

担当してくださった医者は、とても家族の気持ちを配慮して下さる方で、言葉を選び、私達の顔を見ながら慎重に話をしてくれました。

その医者が、食事が出来なければ余命2年と言っているのだから、きっとそうなんだろうと思いました。

口から食事を摂取することはほぼ不可能、あと2年。そう思ってしまいました。

 

再手術を決断した時点で結果は見えていました。分かっていたはずなのに......。

少しだけ期待をしてしまいました。

希望を持たないと自分を保てなかったからです。

 

足元から崩れていく感覚になり、

子供達も私もボロボロ泣きました。

今までに体験したことがない絶望、

先の見えない真っ暗闇の不安、恐怖。

心が折れてしまいました。

 

あの頃は軽いうつ病だったのかもしれません。

家には二人で旅行に行ったときの風景写真が沢山飾ってあります。食べることが大好きな夫と色んな話をしながら、沢山のものを食べてきたダイニングテーブル。

家には沢山の思い出が詰まっていて、見るもの全てに涙が出てしまい、涙腺が壊れてしまったかのようでした。

 

「やっと幸せになれたのに。どうしてこんなことになるの。神様が居るなら助けてよ。今まで散々辛い思いして、ずっと耐えて何度も乗り越えて。やっと、私の全部を受け止めてくれる人と家族になれたのに。私から夫を奪わないで。」と心の中で神様や亡くなった母に感情をぶつけていました。

 

この続きは次回書きますので、読んで頂けると嬉しいです。

このときの心境を趣味のピアノで弾いてみました。

下手な演奏ですが聴いて下さい。