前回の続きを書きます。
15時から手術が開始されました。
手術室に入る前に、執刀医が夫に会わせてくれました。全身麻酔をしている為、目を瞑って寝ていました。「どうかよろしくお願いします。」医者の顔を見て、少し気持ちが落ち着きました。「もう大丈夫」
ここから6時間にも及ぶ手術が開始されました。
その間に駆けつけてくれた、娘と息子に、昨晩からの夫の様子を説明しました。
二人とも笑顔で「お父さんなら大丈夫だよ。それより、お母さんの方が心配だったよ」と言われ、パニックを起こしている私を心配してくれました。不安はあるものの、娘や息子と話しているうちに「お父さんだもんね。大丈夫だよね!」と思えるようになりました。
夫の親族関係にLINEで手術をしていることを伝え、自分の職場に電話で状況説明をしていると、普段連絡してこない父から電話がきました。
「姉達(長女、次女)が実家に帰ってくるから、お前も来るか?」って連絡が入りました。私は何も知らない父がのんきに話す声を聞いて、抑えていた感情が一気に出てしまいました。泣きながら「夫くんが大変なことになっちゃった!今手術しているの。どうしよう!大丈夫かな。怖いよ。」と。
父は母が亡くなって間もないこともあり、私の不安や恐怖がどれ程のものなのか察してくれました。
親子って繋っているんですね。このタイミングで父と話せた事は、緊張で張り詰めていた気持ちを少し緩めてくれました。
18時30分循環器の医者からの説明がありました。
複数あった血栓を全て取り除きました。
腹部の大動脈に血栓が出来てしまい、血液の流れていない腸が壊死しています。
ここからは外科医が壊死した腸の摘出を始めます。
あと2~3時間は卦かると思います。
私達は医師からの説明で、事の重大さを思い知らされました。
21時30分手術が終了しました。手術室から出るときに医者が夫に合わせてくれました。「今は全身麻酔で意識ありません。これからご主人の病気について説明します」
と別の場所に案内され、私達三人は夫の病気について話を聞くことになりました。
【内容】
・病名:上腸間膜動脈閉塞による小腸及び大腸の壊死
・原因:心臓の不整脈により心臓の中に血栓が出来、腸管に詰まってしまった
・治療:壊死した大腸・小腸の切除
「今日の手術では完全に壊死した部分を切除しました」
トレーに乗せられた壊死した腸を目の当たりにしてびっくりしました。
何キロあるんだろうと思う量で、真っ黒になっていました。
【小腸の機能について】
大腸は大半を切ってしまってもどうにかなりますが、小腸だけは栄養を吸収するところなので、替えがきかない。
「小腸は一般的に3メートル以上あります。残存小腸によって今後の生活が大きく変わってきます。」
【残存小腸】
・小腸が1メートル残れば、少し時間は卦かりますが普通の生活に戻れるでしょう。
普通に食事を摂取出来る。
・1メートル~50センチ→個人差がある。普通の生活に戻ることが出来る人もいれば
体力がない人は普通の生活が厳しくなる人もいます。食事に気をつければ口から食
べることが出来る。
・50センチから30センチ→ほぼ口からの食事は難しい。栄養点滴で必要な栄養を摂る
ことになる。
・30センチ以下→口からの食事は無理。普通の生活は出来ません。一生点滴生活になり、体力維持ができなくなるので、余命2年。
【夫について】
「開腹した結果、小腸は1メートル残っています。
小腸が短くなる事を「短腸症候群」といいます。
1メートルの内30センチは問題なし。残りの70センチはグレーです。
色が変わってきているので良い状態ではありません。
もし、小腸が2メートル残っていれば、この70センチは切除していました。」
私も含め元気に振る舞っていた子供達も泣きました。
「最悪あと2年しか一緒にいられないの」ショックで頭が真っ白でした。
「しかし、1メートルしか残すことが出来ないので、(↑の説明)今後の事を考えると
今晩一晩様子を見ることにします。
明日再度開腹手術をして、生きている組織であれば残す事が出来るかもしれない。」
「一点注意しなければならないのが、ご主人は心臓が悪いので手術自体がリスクなりす。覚悟して下さい。」と付け加えられました。
この続きはまた次回書きます。
また、読んでもらえると嬉しいです。