「初音鮨」(蒲田)へ。
話のプロローグはシャリの事から。赤酢を使い力強くも円やかな味わい。そして厳選されたネタと考え抜かれた仕込み/切りつけで、握り一本の基本構成である。
ともあれまずはそのラインナップから。
呼子の剣先烏賊
小肌
肝をかませた皮剥
気仙沼の戻り鰹のヅケ
琵琶湖の天然鰻
大分産のヒモをかませた赤貝
大間の鮪の赤身
赤身ヅケ
淡路由良の鱧と岩手久慈の松茸(2貫)
〈鱧骨から取った出汁の松茸椀〉
鮪中トロ
中トロヅケ 
新イクラ
〈伊勢海老酒〉
伊勢海老
鮪大トロ
大トロヅケ
鮪オールスターズの太巻き
干瓢巻
玉子
大きめの剣先烏賊には表裏・角度を変え、細かく包丁を入れる仕事で、烏賊のネットリ感と味わいを見事に引き出してる。
仕事といえば寝かせもタップリ。小肌で5日間も馴染ませてるとの事。そのおかげで酢と小骨や脂が一体化して、尖った酸味が全く取れている!旨味が凝縮されてる感じ。独特だが美味しい!
白身である皮剥も十二分に熟成させてる。肝のコクと同化してるかの様な旨味が、これでもかというくらい滲み出てる。
ヅケでは独自のタレが威力を発揮。敢えて例えるなら照焼きの時の物の様な、香ばしさがある。戻り鰹はある程度の脂の乗りが欲しかったが、鮪には素晴らしいフレーバーを纏わせてた。
またこの鮪も凄い!ヅケでなければ、僅かな塩をかませてそのまま握る。これが鮮烈な味なのだ!で、鮪で都合6貫と太巻きって、これは豪勢だわ〜。
琵琶湖の特大天然鰻は地焼きで蒸しは無し。肉厚な身や皮ギシの脂まで見事に焼き上げられ、迫力満点の味わい。
圧巻は鱧松茸の握り。夏を過ぎ秋の国産物ならではの、ピンの中のピンの鱧がどれだけ旨いか、関東の人にも唸ってもらいたい、というご主人の思いが結晶となっている。しかも松茸の傘と軸で2貫出てくる!この鱧と松茸を一体で焼く技術がまた素晴らしい!どうやら焼きは女将さんがやっているらしい。いや〜大したもんです。
伊勢海老も凄かった。ほんのり火を入れ生っぽさも残す。海老味噌も一緒に握り込まれ贅沢極まりない!
香り高い赤貝や円やかな旨味の新いくらも、一流の品格で素晴らしかった!
総じて豪華絢爛である中、研究・工夫を重ねて握りに磨きをかけてる。星の数ほども寿司屋が有ると言われる東京。そんな中、蒲田の地にあって一際輝きを放っているのも、ご主人のアツイ情熱の賜物か。
最早人気爆発で、数ヶ月先じゃないと次の予約は取れないらしい。常連の友達のおかげでようやく来れてる状態ゆえ、他力本願だけどこれからも来続けたい!
「一二岐」(東銀座)へ。
胡麻豆腐揚げ
車海老と帆立と夏野菜と茶豆の柿酢和え
金目鯛とシメジの菊花椀
松茸の鱧巻きの焼物
鰹の土佐造り
八寸:太刀魚と長芋のすり身の揚物・銀杏添え、新いくらとナメコの和え物、新う秋刀魚と苦瓜の肝醤油漬け、三つ葉と色々な茸のお浸し
炊き合わせ:(^o^失念)
ご飯、味噌汁、漬物等(詳細失念)
デザート:(失念)
いや〜、どの料理もとても美味しくて、お酒がどんどん進んでしまい、後半はかなり記憶が無い。。。だが、素晴らしかった事は覚えている。
ただ唯一、刺身が鰹のみ、それも厚みの無い部位だったのはいただけなかった。鰹、看板なんでしょ〜??でも、ま、他で大いに挽回してたのは、なかなかです。
実はこのお店の元々の店長は今、銀座のもっと内寄りに「よし澤」というフラッグシップ店を出している。必然、この「一二岐」は一番弟子が今の店長を張っている。そうなってから初めて来たのだが、これほど美味しいとは正直驚いた!
こりゃ「よし澤」にも行かなきゃ!そしてもしかしたら「一二岐」の方が良くて、出藍の誉れとなるやもしれんゾ!

「ブルギニオン」(西麻布)でランチ。アラカルトで固めた。
冷前菜は蝦夷鮑の新作。茄子とズッキーニと共にトマトのジュレと和え、下にはラタトゥイユが敷かれ、ソースはモッツァレラのエスプーマ。傍らには鮑の肝とオリーブオイルのペーストを乗せたトーストが添えられてる。
いや〜素晴らしい!鮑が主役ではあるが、他の食材と一体となって、複雑且つ調和の取れた味わいに仕立ててある。これ!このバランスだよ!久々にブルギニオンらしい前菜の新作に出会えた気がする。
続く温前菜はリードヴォーのベニエ。これはブルギニオンの内臓料理としては大人し過ぎ。もっとダイナミックにこっちに迫ってこないと、らしくない。
気を取り直して、メインはブッフ・ブルギニョン。定番中の定番だが、年に一度はここのを食べておきたいのだ。
立体的に盛られた大き目の肉塊。慎重にナイフを入れ、頰張ると、、、
ムホホ〜ッ!凝縮された野菜の風味と牛の旨味が絶妙に絡まり、渾然一体となって身体に染み入ってくる!やっぱブルギニオンのブッフ・ブルギニョンは最高だわ〜!
シェフの著書とかには、何々料理をこれこれしてレストラン料理に・・・という文が時折出てくる。レストラン料理としてある種の昇華をさせないと、店では出せないという矜持を感じるセリフで、このブッフ・ブルギニョンもその一つだと思う。ビストロでも出る定番料理だけど、更に何かを加えて品格を上げる。それを見事に具現化してるのだ!流石!流石じゃ!
気分は上々の中ワインがどんどん進んで、チーズとデザートの記憶が忘却の彼方。。。昼から酔っ払いつつ店を出ましたとさ。