運動量保存の法則の使い方は
「系にはたらく力をすべて挙げ、
それを外力と内力に区別し、
外力がすべて一方向を向いていないか調べる。
一方向を向いていれば、
それに垂直な方向の運動量が保存される」
これを理解していないと、
正しい法則の運用ができないのですが、
キチンと説明している参考書は見かけません。
ちょっと解説してみますね。
運動量保存の法則が成り立つ条件は
運動の過程ではたらく力が内力だけ
ということでした。
次のような例
滑らかな床の上に滑らかな斜面をもつ台が置かれている。
斜面の上に小物体が載せられている。
静止状態から、小物体が斜面を滑り降りると、
台も右に運動する。
運動の過程ではたらく力をすべて挙げます
垂直抗力nが内力でその他は外力です。
外力がはたらくのだから運動量保存は成立しないはずです。
しかし、この手の問題の解答は
mvx-MV=0
と運動量保存が成り立つとなっています。
ここをキチンと説明しないといけないと思うのです。
運動量はベクトルです。
ベクトルは各方向に分解して、
それぞれの方向に独立して扱うことができるのでした。
ということは、
外力がはたらいていても、
それらがすべて一方向を向いていれば
それに垂直な方向だけに注目すれば、
外力がはたらいていないことになり、
その方向に関する運動量保存が成立する
ということになります。
先の例では、外力がすべて鉛直方向を向いているので、
水平方向の運動量保存が成り立っているのです。
したがって
mvx-MV=0
が言えます。
高校物理全般に言えることですが、
法則を用いるのなら、
その法則が成立していることをキチンと言えないといけません。
なんとなく成り立っているんだろうでは、
難しい問題には太刀打ちできません。
今回は運動量保存を説明しましたが、
力学的エネルギー保存なら
「はたらく力をすべて挙げて、
仕事をする力としない力に区別して、
仕事をする力が保存力かどうか調べる」
というのがあります。
運動量保存、力学的エネルギー保存の使い方に関して
以下の本で説明しました
高校物理発想法 2,160円 Amazon |
東大物理攻略法 1,944円 Amazon |
参考にして下さい。