サプリメント開発の裏側というほどたいそうなものではないが、その一端をご紹介したいと思う。


現在、さまざまなサプリメント(栄養補助食品)が販売されていて売り上げもなかなか好調なようだ。まさにサプリメントブームといえるだろう。

運動・スポーツを行う場面での利用を目的とした商品、エルゴジェニックエイド(運動能力増強物質)も多数販売されている。


私が現在在籍しているところには、「これから商品にしたいので、その効果を実験で確かめてほしい」などという依頼が来たりもする。

そしてまず最初は、当然のごとく私たちが被験者となる・・・・


最近行なったものでは、ある植物から抽出した成分(粉末)を1週間程度飲み続け、その前後でパフォーマンスに差があるかというものがあった。

運動は、自転車エルゴメータ(エアロバイクのようなもの)での漸増負荷運動(段階的にペダルにかかる負荷を上げていく運動)で疲労困憊に至るまで(漕げなくなるまで)運動を行い、そのときの最大酸素摂取量を測定するというものであった。

疲労困憊に至るまでの運動は一般にall-out(オール・アウト)と呼ばれている。当然、非常に辛い。自分が、もうだめだ限界だ!と思っても周りの人たち(験者)から大声で激励が飛び(運動能力を最大限に引き出すため)、さらにしばらく運動を続けることになる。それをサプリメント摂取の前後に行なう。all-outに関しては、この実験以外にも日常的に行なわれていたりする。

このほかにも、採血して血液検査などが行なわれた。


この実験で一番辛かったのは、粉末摂取後に必ず嘔吐したことだ。起床後の空腹時に摂取するのだが、摂取して20~30分後に吐き気がおそってくる。もちろん毒ではないし、吐いたのも私だけだったが、この粉末の成分に対してこのような反応を示す人はたまにいるらしい。

最初に嘔吐したとき、実験の責任者に報告したら無情にも「すぐにもう一回飲んで」といわれてしまった。やめていいよ、という言葉を期待していたのだが・・・・・。

ほかの食品を軽く食べた後なら吐き気は無かったので何とか続けたが、かなり参ってしまった。


さて、このようにして出来上がったサプリメントの効果がいかほどのものかということだが、あまり期待はしないほうがいいだろう。販売する側は大げさな広告にしたり、実験結果のわずかな差をことさら大きく取り上げたりするものだ。それに、非常に効果があるものなら禁止薬物リストに加えられるだろう。リストにないということは効果が無いということだ。まあ、気休め程度にはなるとは思うが。

ちなみに、最も簡単に手に入り、エルゴジェニックエイドとして効果の期待できるものはカフェインである。競技会では尿中のカフェインが12μg/ml(コーヒー3杯以上)を超えるとドーピングとみなされてしまうが、興奮剤としての効果あるいは脂肪酸の利用率を高める効果が報告されている。

運動前1~2杯のコーヒーはダイエットに効果があるかもしれない。

もちろん、砂糖は入れずブラックで。




スポーツ一考