昨日読み終えました。
村上春樹のエッセイか何かで、文章が短くて簡潔で読みやすい作家と出ていたので、ためしに「悪童日記」を読んでみた。デビュー作ですね。
文章が簡潔なのはこの人の母国語でない(ハンガリー出身)フランス語で書かれているためもあるんでしょうが、描写が鋭くて全然拙い感じがしません。
一つの話も2から4ページくらいとすごく短いのだけど、それが全部つながっていて、前の話が伏線になってるものもあるので、構成がよく出来てる印象。
話としては、戦争で祖母の家にきた双子の男の子がたくましく成長していく話なのだけど、まあ性的な話もばんばん入るし、子供のいたずらもかなり過激だったり、おばあちゃんとか周囲の大人も荒っぽく、意外に過激な話でした
しかしまあ、これが本来の戦時中の国の生活ってものなんでしょうね、と思いながら読んだ。
子供は双子ならではで力を合わせて大人顔負けの知恵をつけて生き延びていきます。
2次大戦中のハンガリー、オーストリア国境の状況も実はかなり忠実に反映しているらしい。勉強になりました。
個人的には魔女といわれる偏屈なおばあちゃんが護送されるユダヤ人にさりげなく手を貸すシーンとかがあって心に残った。
人物の描き方が一辺倒でなく、どっちかというと勘定抜きのハードボイルドなんだけど深いなと思います。
もちょっと他の作品も読んでみようかなと。