なんだか円高、円高ウルッサイのですが、円高は日本にとってはとても良いのです。
理由: 海外のモノが安く買えるから。
日本は原材料がすべて輸入になっています。原油、鉱物資源などを輸入しております。この輸入でモノが安く買えると言うことは生活を豊かにします。
たとえば、僕が子供の頃はジョニーウォーカーの黒といえば、高級酒の代名詞でした。ジョニ黒は、多分当時で1本1万円ぐらいしたモノです。ところが今はいくらぐらいかご存じですか?酒屋で2千円以下で買えるのです。これだけ安くなると、ブランド焼酎よりも安いので安酒というイメージになってしまいますね。そのせいか、高かった頃のように売れていないみたいです。
とにかく、通貨高は海外旅行に行ったときに得をするというようなレベルではなく、選択の幅を広げる効果があります。
モノが安く買えるというのはとてもよいことです。ですから本来、通貨高は、国の力が強いことを意味しているので喜ぶべき事なのです。
現在の日本の通貨高は、ユーロ、ドル、円の3大通貨にとっての美人投票になっています。
ユーロは、以前から書いておりますが、ギリシャショック。これは、遅くとも8月までに結論が出ると思いますが、デフォルトほぼ間違えありません。
昨日今日と、ユーロが対ドルで上がっているらしいですが、破綻前の通貨は、一旦上がるのは当たり前です。というのは、決済など様々な理由で、その通貨の発行国にお金が向かうからです。
たとえば、欧州在住の銀行が、危機に陥ったとします。破綻寸前まで、そのまま放置することはなく、いったん資金を海外から引き揚げて、自行に現金という形で集めます。するとどうなるか、この場合はユーロが買われるために、ユーロ高が起きますよね。
先日の、3.11の直後に1ドル76円の超円高を招いたのも、日本が危機だったからです。
危機の時は通貨高にいったん振れるという習性を利用して、ファンドがその動きを増幅させます。ですから、相場が大きく動くのです。
ですから、今回のユーロ高の原因が危機のせいか、それとも状況がよくなったからかを慎重に見極める必要があります。いずれ解ることではありますがね。。。
米国ですが、8月2日の米国債の償還の危機を迎えています。米国債は、約14.3兆ドルの発行上限があるのですが、この5月にその上限まで発行してしまいました。8月に次の国債を発行して、資金調達ないといけないのですが、下院議会で、共和党と民主党が対立しているので発行上限変更の法案が止まってしまっています。
つまり、もっとお金を借りたいのだけど、法律で決まっていて借りられないというわけです。この期限が、8月2日です。これまでに、法律を変えられないとデフォルトという可能性も出てきいます。
この法案が決まれば、ドルが大きく上がる可能性があります。多分決まると思うのですけどね。
ついでに、この法案が通るとQE3といって、資金を大量に市場に流すオペレーションの第3弾をFRBがやると思います。バーナンキはそのことをほのめかしているのです。これをやるとまたインフレが激しくなりますよね。中国つぶしのためにやるのでしょうか。
つまり、今現在、日本は決して良いところなんかないけれど、欧州、米国に比べてマシということで、円が買われているというわけです。日本も特例公債法案の審議に入っています。この法案も国債の発行残高を決める法案です。ただし、建設国債用ではなく、赤字国債用ですがね。
ただ、実態としては、日本という国はものすごく体力があるのですが、現在の市場からの評価はそんなところでしょう。この辺は別の機会に書きます。
ここで、私は当たらない予想をしたいと思います。
1. 9月までにギリシャ危機発生
2. 11月までに米国は地方債(州の発行する債券)の危機発送
この2つが起きる。その結果として、ユーロ、ドルともに年末にかけて、過去最安値を付ける。
結果として、円はドルに対して70円台が普通になる。(その前に、ドル高が1回きますからね。)
と思っています。そうすると、円高で輸出が!と大騒ぎするマスコミがありますが、実は円高になっても日本はそれほど困らないのです。
日本のGDPは約500兆円ありますが、輸出の寄与率は12%ぐらいです。内需が60%を超えます。つまり、輸出が日本経済の心臓ではないのです。その中で、家電製品や自動車の完成品は、それぞれ10%ぐらいですから、全体から見ると家電と自動車を合わせて3%程度しか寄与していません。
また、世界の中で日本企業しか作れないモノが結構あるのです。
たとえば、タッチパネルに使うフィルム、液晶用フィルム、ロボット用の精密位置決めモータ、エンジンに使う金属部品、航空機用の炭素繊維、ステルス性の高い塗料、超精密金型を作る工作機械などなど、ほかにもまだ沢山あります。
これらは、日本でしか作れない、もしくは海外製は品質が悪くて使えないので、いくら円高でも2~3割程度の値上がりであれば、海外メーカーは日本から買うしかないのです。(ちなみに、これらが日本の輸出の6割以上を占めます。)
おもしろいのは韓国です。韓国で作られている電子製品の30%ぐらいの部品は日本製なので、円高が進めば進むほど、韓国の対日貿易赤字が増える構図になっています。
最終製品(たとえば、家電製品、自動車)などの消費者か買うものは、部品が高くなったら高くして売れば良いので、組み立て屋さんはそれほど困らないというわけですね。
ただ、経団連には輸出企業が多く入っているので、円高は困ると言うことが大きいのは事実ですが、実は声ほど円高は日本にとってはマイナスではないということですよね。
そもそも360円から80円に4倍以上通貨が上がっているのに、まだ輸出産業が日本にあるということは、よほど経営者がぼんやりしているか、そもそも日本でないと作れないのかどちらかですよね。
もちろん、円高で困る会社を助けてあげないといけないとは思いますが、実態として円高で困ることはないということだと思います。トヨタもホンダも、パナソニックも、ソニーも海外に沢山工場を持っていますからね。
それにしても、リーマンショック以降世界がそわそわしていますね。この2年で大きく世界は変わりました。日本のマスコミはぼんやりしているので、全く海外の重要なニュースを報じませんが、裏ではものすごく事が沢山起きております。
裏ではと書きましたが、英語のニュースではきちんと報道されています。僕は英語力にまだまだ弱点があるので見出しぐらいしか読めませんが、本文はウォール・ストリート・ジャーナルの日本語版を読んでいます。きっと日本のニュースとの違いに驚くと思います。
無料のページと有料のページがあるので、まずは無料のページだけでも定期的に読んでみてください。