セミの鳴き声。


ゆらぎながら、ジリジリチリチリ鳴いている。





風に揺れる枝葉。


フワフワゆらゆら、心地良さそうに揺れ動いている。






鳥の声が時折きこえる。


蝉の鳴き声に混ざりつつ、可愛らしい音。







車が通り過ぎる音。


ブーン、トルルルルル、というエンジンの音。






飛行機が遠くの方で飛ぶ、ゴーーーーーという音。







草木や虫たち、鳥たちと混ざり、人間が醸し出す音。それは、この世界には、わたしの他にも人間がいるんだなぁと、なんとなく安心感を覚える音。





いろんなイノチが揺れ動いて、色々な音、雰囲氣、世界を醸し出している。






それぞれの色んな世界がうすくうすく重なりあって、成り立っているこの世界が、わたしはやっぱり、落ち着くんだなぁ。






穏やかな、今のこの瞬間が、とても有り難く、涙が出てくる。







平和とは、今のこの瞬間に違いない。






色んな時代を人間も生きてきたけれど、どの瞬間も、煌めき、輝いている素粒子の集まりだったが、この今の瞬間も、素粒子たちは煌めき、あつまり、輝いている。







人として、今を生き、今のこの時代を生き、わたしはとても幸せで、とても有り難い。







この重なりの美しい世界の観察者であり、傍観者であり、参加者でもあり、重なりの一部・いちなる「わたし」として世界を彩るものであり、ただただ、この一点・一天を生きるもの。