国宝・犬山城 〜愛知県犬山市〜 | 旅するカメラ

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日本のお城の天守閣の中で、江戸時代前後から江戸末期にかけての時代に建てられたものが現代まで保存されている天守の事を『現存天守』と呼んでいる。
修復等を繰り返しながらその姿を維持してきたお城や創建当時に建てられたものではなく在城であった当時に再建、改築されたものがほぼそのまま残っているもの等々・・・。(ウィキペディア参照)
 
そんな現存天守の中でも一番古いと言われているのがこの犬山城なのだ。
しかも国宝。
やっぱり一度はこの目で見て、この手で触れてみたい。

九州の福岡に住む私にとっては遠い遠い存在だった犬山城だったのだが、思い切って訪れる事を決意した。


新幹線N700系「のぞみ」で博多から名古屋まで約3時間半。
それから名鉄犬山線に乗り換えて準急行で約30分、「犬山遊園駅」に到着。
遠い遠いと思っていたけれど4時間程で犬山城の最寄りの駅に到着した。
自分で車を運転して鹿児島へ行くのとあまり変わらないかも。
いや、電車に乗ってゆっくりと休みながら行く分楽かもしれない。お金はかかるけど。

微妙に曇り空だったけれどいざ犬山城を目指して出発。

木曽川沿いを歩いて行くと・・・見えてきた。国宝・犬山城!

犬山城

何と言うか飾り気の無い無骨な感じがなんともカッコいいではないか。

周りを歩いている人達の中には
「なんだか小さいね~。普通の家みたい。」
なんて言っている人もいたけれど、この素っ気ない感じがお城好きの心を捉えて止まないのだ。


木曽川沿いの断崖に建つその姿は実際の天守閣の大きさよりも更に威厳に満ちて見える。




と、何やらお城の入り口付近が騒がしい。
ちょうど「秋の犬山お城祭り」が開催されていて山車(やま)が広場にずらりと並んでいた。
いいね~。なんだか気分も盛り上がるってもんだよ。

犬山城


と、祭り見物もそこそこに本丸を目指す。
本丸へと続く石段が国宝天守への期待感を一層高めてくれる。
犬山城


本丸門(鉄門)をくぐり本丸内へ。
そして目の前には・・・犬山城天守閣。

犬山城

おお・・・
これまたなんとなく「顔」に見えてしまう。(ロボットみたいでかわいい顔である♪)
いや、そんなことを言ったら怒られそうだ。

下から見上げていたよりも大きさを感じる気がする。


そしていよいよ天守閣内部へ。
入り口を入ってすぐに梯子の様な角度の階段が待ち受けている。
これぞ現存天守に来たと言う実感が湧く瞬間というモノである。

犬山城


土足厳禁。
入り口でビニール袋を渡されるので靴を脱いでそのビニール袋の中に入れて持ち歩く。
せっかく木のお城なのだからその感触を楽しみたいと言う事で靴下も脱いで素足で歩いて行く。
足の裏に伝わる木の感触がやはり心地よい。
復元されたコンクリート製のお城では絶対に味わう事が出来ないこの感じ。
いやー、現存天守の中は素足に限るよ。(冬は寒いだろうけど)



手斧(ちょうな)と呼ばれる斧の独特な削り痕が美しい。
犬山城



「上段の間」
籠城戦の時には城主の座居として使われる部屋。
右の扉は「武者かくし」。
いざと言う時に城主を守る為に家臣がこの扉の奥で控えている。
犬山城


窓の格子の隙間から屋根を見てみると桃の形の瓦が。
桃には魔除けの力があると言われているからだそうだ。
そう言えば古事記でイザナギノミコトが黄泉比良坂(よもつひらざか)で黄泉の醜女に追われた時、桃の実を投げ付けて逃げ切ったし。どことなく中国の影響を受けている話に聞こえるが桃にはそう言う力があるのだろう。
現にこの犬山城もこうして現在まで火災に遭う事も無く、戦火に見舞われる事も無く無事に残っていると言うのも案外、桃の力のおかげかもしれない。
犬山城

そして天守最上階には「国宝認定書」の写しが飾られていた。
これぞ国宝の証。
犬山城



ここで、お城をくだって向こうに見えていたライン橋を渡って対岸の岐阜県に渡る事にした。
さすが木曽川。
広い、広すぎる川幅。

犬山城

江戸中期、この木曽川の改修工事という難工事を薩摩藩が命じられた。
あまりの難工事に責任を取って家老等55名が自刃。赤痢などの病気でも34名が命を落とした。
もちろん徳川幕府の外様大名である島津氏の財力消耗を狙っての命であることは明らかだったのだが
薩摩藩士達は黙々と命をこなしたと言う。
これが後の討幕運動の原動力となったとも言われている。
やはり・・・後々巡って自分に降り掛かる様に出来ているのかもしれない。

そんな事を考えながらライン大橋を渡り岐阜県へ突入。
この木曽川が県境になっているのだ。
橋を行き交う車のナンバープレートも岐阜ナンバーと愛知、尾張小牧ナンバーが入り乱れていた。


そして対岸から木曽川を挟んで見上げる犬山城。

犬山城
ああ、よくパンフレットや雑誌等でみかけるお城の角度はここかもしれない。
本当なら夕方、赤く染まる空をバックに撮ると最高な位置なんだろうけど・・・。
そこはゆっくり一つの場所に腰を下ろして写真を撮ると言う事が旅先ではまだまだ出来ない
ガツガツした日程を組んでしまう旅人である私の悲しい所である。
もしも次にこの地を訪れる事があるのなら、次は夕暮れに訪れたい。
なんとなく・・・夕方が似合う気がするお城である。