石畳と坂道、そして路地。
そんな言葉にどうやら弱い最近の私。
今や全国区の温泉街となった湯布院から車で約20分程の山間に
鄙びた温泉街がある。
それが湯平(ゆのひら)温泉。
狭い石畳の坂道がとても風情のある温泉。
温泉の開祖は鎌倉時代、
そして現在のような温泉地となったのは江戸時代後期との事。
その時に湯平のシンボルとなった石畳が作られたとか・・・
放浪の俳人・種田山頭火が訪れ、著書『行乞記』の中で、
「此温泉はほんたうに気に入った、山もよく水もよい、湯は勿論よい、
といふ訳で、よく飲んでよく食べてよく寝た、ほんたうによい一夜だった」と
記したそうな。
確かにお湯は良い。
程よいツルツルとした柔らかいお湯。
しかも飲用でき、胃腸に効くらしい。
今回は石畳の通りに入ってすぐの所にある共同浴場「銀の湯」に入ってみた。
入口脇には足湯もある。
料金は大人200円。
なんと無人の共同浴場。
客は入口を入ったところにある料金ボックスにお金を入れて入るシステム。
なんておおらかなんだろう・・・
この日は祝日で訪れたのが3時過ぎだったのだが
私のほかは一人しか客が入っていなかった。
(後から数名入ってきたが・・・)
このお湯、この雰囲気。
何故こんなに空いているのか不思議でならない。
石畳通りを入ってすぐはそれなりに道幅は広いのだが、
上へ登って行くにつれだんだん道幅が狭くなって行く。
勿論、車も通る。
道幅ギリギリ・・・
石畳って素晴らしい。
閉まっているお店や旅館も何店舗かあり、
少し寂しい感じが否めないけれど
それがまた鄙びた温泉街の雰囲気をアップしていているようだ。
この石畳の坂道を浴衣を着て下駄をカランコロン鳴らしながら歩いてみたかった・・・
そう思わせる石畳の坂道だった。