そこは、とても素敵なレストランだった。
バンギでは今まで見たことのないブッフェスタイルのおしゃれなオープンレストラン。
店内はすでにたくさんの外国人の招待客で賑わっていた。
ここにいる外国人ゲストは、例外なく国連やNGO、大使館関係者など、この国で働いている人たちだった。
普段はそれぞれがそれぞれの仕事に追われている。
この国では、どこにいても、何をしていても、なかなか心からホッとできる場所がない。
俺だってそうだったからわかる。
マーシャルのレストランは、異国の地で毎日戦っている彼らにとって、束の間、肩の力を抜くことのできるオアシスのような場所になっていた。
マーシャルが腕によりをかけてつくった料理が前菜からデザートまでずらりと並んでいる。
どれもクオリティーが高い。正直、バンギでこんな料理を食べたのは初めてだった。
システムも面白い。
最初にチケットを購入して好きな料理を自分で取っていく。
俺も当然、自分で払おうとした。
ところが「ヒロからは、お金をいただきません」
マーシャルが頑として受け取らない。
なんだか申し訳なかったけど、あまりにも強く説得されるので今回はすっかりご馳走になることにした。
料理を堪能し、少し落ち着いたところでコーヒーをいただいているとマーシャルが俺の席へやって来た。
ようやくゆっくり話ができた。
そして、なぜ世界銀行のカミーラが、俺とマーシャルを会わせたかったのかがわかった。
実はマーシャルも小さいながら養鶏場を始めていた。
ただ、なかなかうまくいっていない。
だからPEACEisに養鶏場について力を貸してほしいという。
「よーくわかるよ」
俺は、そう答えた。
俺たちも散々苦労してきたからだ。
この国には、そもそも養鶏場そのものが存在しない。
だからそもそも知識や経験を得ることが難しい。
でも本当に大変なのはそれだけじゃない。
必要なものがここでは簡単に手に入らない。
日本なら、必要なものを探して買えばいい。
でもここでは売っていない。
だからたとえ少量でも国外から輸入する。
あるいは、自分たちでゼロからつくる。
設備も、道具も、仕組みも。
その一つひとつに大きな時間とコストがかかる。
俺たちもまさに今、その問題と向き合っている。
だからマーシャルの苦労は痛いほどわかった。
「なんとかしてやりたい」
そう思った。
カミーラからの強い願いでもある。
でも…
「う〜む……」
俺は悩んだ。