毎日、小さな命と向き合う。
どれだけケアしてもどうしても弱い子は死んでいく。
リチャードたちのいる現場の空気が嫌な空気で張り詰めているのがわかる。
さらに彼らはひよこたちが出荷されるまでここに泊まり込みで家族と離れての生活。
身体的な疲れと精神的なストレスがピークに達しているのは理解してるつもりなんだけど...
また今日も現場で大声で怒鳴ってしまった。
スタッフたちからのできないできないばかりの苦情に激しく反応してしまう。
最近はこんな日が多い。
「そんなことでどうする?できないできないばかりじゃないか!文句ばかりじゃなくどうやったらそれを乗り越えられるのかを考えてほしい!やる気がないならここから出ていってくれ!」
後で通訳に徹したシルベスタに「ヒロさん、みんなに責められて可哀想でしたね」って同情される。
あの場でもしシルベスタがこちら側について言い合いになってたら本当にケンカ別れになってしまってたかもしれないからあれでいいと伝えた。
このプロジェクトがうまくいくなら俺はいくらでも悪者にもなる。嫌われても構わない。
ただ...
リチャードとの契約の際に、ソースデラペ側の弁護士に言われた言葉がずっと引っかかって離れないでいた。
「あなたはリチャードを広告塔に使って日本でお金を集めてる」
もちろんこれは向こうの弁護士が自身が優位な立場に立つためにマウントを取るために言ったこと。だけどその場にいたリチャードやシルベスタたちはそれを聞いてどう思っただろう。もしみんなにもそんなふうに思われてるとしたら俺のことはきっと信用できないよね。
どこまでいってもやっぱり俺は外国人だから。
何を言ってもきれいごとにしか聞こえないのかもしれない。