河童の恩返し そのうちにやつと気がついて見ると、 僕は仰向けに倒れたまま、大勢の河童にとり囲まれてゐました。 のみならず太い嘴くちばしの上に鼻眼鏡をかけた河童が一匹、 僕の側へ跪きながら、僕の胸へ聴診器を当ててゐました。 芥川龍之介