むかし子どもだった僕らにいま必要なこと。 | 消しゴム君 寫画集

消しゴム君 寫画集

寫眞と物語と言葉で綴った寫画集

 
 
 
たどってみようか
 
過ぎ去った筈の記憶の
その窓枠にしがみついて離れない記憶を
 
学校帰りの道草が得意だった僕は
街中のあらゆる路地や小道を知り尽くしていた
中でもパン屋の裏に続くあぜ道は
虫や花や草や
時には青鷺や白鷺が
顔なじみのように僕を出迎えてくれた
 
気がつけば陽は暮れかかり
辺り一面が茜色に染まる
するとどこからか豆腐屋のラッパと
山に帰るカラス達の鳴き声が
風に乗って聞こえてくる
 
ノスタルジックに浸る事が
どこか恥ずかしいと思う大人になってしまった僕の
まだ過ぎ去っていない情景がこうしてある
 
これは過去の出来事ではない
 
今でもこうして鮮明に蘇る僕の憧憬は
過ぎ去った過去では決してなく
今を生きる記憶なのだ
 
少し止まって
振り返る
 
 
振り返った記憶と
今の自分とを重ね合わせ
その襟を正し
心の軸を正す
 
むかし子どもだったボクら大人に
いま必要なことは
こういう事ではないだろうか