回想録<東京フィルハーモニー交響楽団ヨーロッパ演奏旅行1994>vol.1〜出発直前編 | 松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

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世界的なマエストロ=大野和士氏が東京都交響楽団の
音楽監督に就任してから十年余りが経ちました。
着任早々の2015年秋には、楽団創立50周年を記念して、
そして<オリンピック&パラリンピック2020東京大会>
文化使節としての役割も担いながら、
大野&都響はヨーロッパ演奏旅行を敢行しました。
その後も考え抜かれたプログラミングと鮮烈な演奏で注目を集めました。
加えて、2018年9月からは新国立劇場芸術監督にも就任して、
日本のクラシック音楽の屋台骨を支える大任を果たしています。
そして2022-23年シーズンから、ベルギーの
ブリュッセル・フィルハーモニックの音楽監督に就任しています。

さて、今日からの記事シリーズの本題に入っていきましょう。

30年前の秋、まだ駆け出しに等しい若手であった私は、
<東京フィルハーモニー交響楽団ヨーロッパ演奏旅行1994>に
同行する機会を得て、ヨーロッパを旅しました。
当時の東京フィルの常任指揮者は、
新進気鋭指揮者の筆頭格であった大野和士氏でした。
今日から、その演奏旅行の回想録をアップしていきましょう。

ブログ上海外演奏旅行回想シリーズといたしましょう。

当時の東京フィルハーモニー交響楽団は、
トスカニーニ国際コンクール第1位をはじめとする数々の受賞や、
当時は内乱状態であったクロアチアのザグレブのオーケストラ、
ザグレブ・フィルの音楽監督としての鬼神のような活躍により、
世界的に注目を集めていた大野和士氏を新・常任指揮者に迎え、
"オペラ・コンチェルタンテ・シリーズ"や
"若手作曲家委嘱シリーズ"を立ち上げて
意気が上がっているところでした。

東京フィル欧州楽旅1994チラシ

大野氏の常任指揮者就任の話がまとまった頃から計画されていた
1994年の欧州楽旅(ヨーロッパ演奏旅行)には、
幸運にも、前年にその"若手作曲家委嘱シリーズ"の第2弾として
初演していただいた拙作もプログラミングされるという希有な機会を得て、
私自身も同行することになったのでした。

季刊「東京フィルだより」先行記事

広報と寄付金募集を兼ねたチラシが東京フィル各公演で
配布され、また直前になると季刊「東京フィルだより」に
大野和士氏のメッセージや事務局からの先行記事が
掲載される等、次第に機運が高まっていきました。

名古屋公演チラシ

1994年10月3日の演奏旅行出発を控えた9月18日の
<東京フィル・第5回名古屋定期演奏会>には、
ヨーロッパ公演の予行演習を兼ねたプログラム、
松尾祐孝/フォノスフェール第1番~尺八と管弦楽の為に
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番
R.コルサコフ/交響組曲「シェへラザード」
の3曲が組まれました。

東京フィル名古屋公演1994.09.18.

指揮は勿論、大野和士氏、尺八独奏は三橋貴風氏、
ヴァイオリン独奏はラファエル・オレグ氏で、
全て欧州楽旅の同行音楽家という陣容でした。
私自身も、自作の"付け打ち"パートを
自ら担当することになっていたので、
この公演からエキストラ奏者として
東京フィルの皆さんに同行することになりました。

名古屋公演プログラム頁

そして、楽旅にプログラミングされたその他の曲目の
リハーサル等を経て、いよいよ10月3日に成田空港から
一路ヨーロッパに向けて出発したのでした。
まだ海外渡航経験が10回程度だった私にとって、
オーケストラと一緒の演奏旅行は初の体験で、
ワクワクした気持ちでの旅立ちとなりました。