現代音楽界に旋風を吹き込んでいる気鋭のグループ、
フィディアス・トリオ/Phidias Trioの皆さんに、私の若き日の思い出深い作品
《The Stratosphere》を演奏していただくことになりました。
昨日の夕方記事では、そのコンサートの案内とフィディアス・トリオの紹介を、
そしてこの記事では、拙作《The Stratosphere》の紹介を記します。
♪♪♪♪♪《The Stratosphere》for Violin, Clarinet and Piano ♪♪♪♪♪
第3回日仏現代音楽作曲コンクール特別賞授業作品
初演:1985年1月 東京日仏学院ホール(同コンクール本選会)
演奏:Vn. 漆原啓子 Cl.板倉康明 Pf. 中川俊郎
この曲は、"駆け出し期の私が大上段に構えて重厚な作品を書いた"作品です。
審査員長:トリスタン・ミライユ 審査員:一柳 慧 三善 晃、という
錚々たる先達の方々の審査していただける機会ということで、
『日本に居ながらにしても国際スタンダードとなっているクラシック音楽の
創作の基盤が習得できる』というところを提示したいという思いを込めて作曲したものです。
冒頭で提示される動機が、自由に成長・発展していく音楽です。
このコンクール、日仏現代音楽作曲コンクールは、
第1位を受賞するとフランス留学という特典と、
特別賞を受賞すると同じ会場で個展を開催できる特典がありました。
私は留学には興味がなく、特別賞を密かに狙っていたのですが、
幸運にもその想いが叶って、特別賞を受賞することができました。
そして、翌年1986年に<松尾祐孝個展>を開催しました。
上の写真は、その個展のステージの模様です。
この一連の活動の中で縁を持った仲間のコアメンバーで、
PHONOSPHERE MUSICALE MUSICAL ENSEMBLE と称するグループを結成して、
翌1987年から4年連続で、同じく東京日仏学院ホールを拠点として、
<PHONOSPHERE MUSICALE MUSICAL ENSEMBLE conceret series>を開催して、
日本とフランスの現代音楽作品の紹介を展開しました。
その活動には、当時のアールレスピランのメンバーの皆さんにもご協力をいただき、
中でも作曲家/ピアニストの中川俊郎さんとは現在に至るまで緊密に連携をしていただき、
現在でも"チーム百万石"や"深新會"などで独自の活動をご一緒している次第です。
来たる7月6日の演奏会 Phidias Trio vol.10 “Live on… II” で、
私よりも若い世代の作曲家の皆さんの作品と同じステージで演奏していただく機会を得て、
この若き日の作品が久しぶりに音になり、どのように鳴り響くのか、
作曲家自身としても大いに楽しみにしています。
♪♪♪♪♪♪ Phidias Trio vol.10 “Live on… II” ♪♪♪♪♪♪
2024年7月6日(土)15:00開演(14:30開場)
KMアートホール (渋谷区幡ヶ谷1-23-20 京王新線幡ヶ谷駅より徒歩6分)
一般3,000円 / 学生2,000円
♫ ♫ ♫ プログラム ♫ ♫ ♫
田中吉史 : bogenspiel Ⅰ for violin solo(2003)
神本真理 : 記憶のコラージュ (2002/2024 revised)
山本哲也: Psychedelic Study for clarinet solo (2011)
松尾祐孝 : The Stratosphere (1985)
木下正道 : 炎は炎の中に消える、そして時間は時間の中に VI (2021)
渡辺裕紀子 : Memory and Stain (2019)
【出演】
Phidias Trio(フィディアス・トリオ)
ヴァイオリン 松岡麻衣子
クラリネット 岩瀬龍太
ピアノ 川村恵里佳
【プロフィール】
Phidias Trio(フィディアス・トリオ)
ヴァイオリンの松岡麻衣子、クラリネットの岩瀬龍太、ピアノの川村恵里佳により2017年に結成。
これまでの主催公演では、現代の優れたクラリネット三重奏の作品を取り上げるとともに、
オーストリア、アルゼンチン、ブラジル、チリ、トルコ、韓国、日本の若手作曲家の新作を初演し、好評を博す。
また、ハニャン現代音楽祭(韓国・ソウル)や、日本作曲家協議会主催「日本の作曲家2021」等、
数々のプロジェクトに招聘されている。
2021年12月に出演した日本現代音楽協会主催「ペガサス・コンサート vol.3」の公演の模様は、
NHK-FM「現代の音楽」にて、2週に渡って放送された。
つい最近にはCDがリリースされ、CD発売記念演奏会も開催された。
Phidias Trio WEB site : https://phodias-trio.com