このところ自分自身の邦楽器作品の紹介を続けてきました。

今日は、3年前に初演される予定だった最新作を紹介しましょう。

 

この作品は、2019年7月に初演した

《音・音 / Sound Sound Ⅴ》

        〜箏とオルガンの為の幻想曲〜

の新ヴァージョンです。

まず、原曲となる最初のヴァージョンを、あらためて紹介しておきましょう。

 

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勤務先の洗足学園音楽大学の今年度の大学院2年生に

箏専攻学生とオルガン専攻の留学生が在籍しているので、

その二人が協演できるステージを創出しようということに

なって、この作品が誕生する運びになりました。

 

箏(素朴な木製弦楽器)とオルガン(大規模な金属製管楽器)

(注:オルガンは鍵盤楽器ですが、発音メカニズムは管楽器です)

という対照的な二つの楽器のための二重奏作品ということで、

音と音の対照を奏者と聴き手の双方にとっての共通コンセプトとなる楽曲シリーズ=

"音・音 / Sound Sound シリーズ"の第5番として作曲することにしました。

 

オルガンは笙を思わせる音色を中心に繊細な演奏を見せつつ、

箏はその音色と機能を存分に発揮しつつ、両者が対照や融合を繰り広げていきます。

 

箏パートは、中国の箏=古箏でもトレース可能にしてあるので、

オルガンと古箏の二重奏で中国でも演奏していただけたらと、

作曲者としての願いも込められています。

 

このシリーズの今までの軌跡は、

《音・音 / Sound Sound 〜二群の邦楽合奏の為の二章》

《音・音 / Sound Sound Ⅱ

        〜トランペットとオルガンの為に》

《音・音 / Sound Sound Ⅲ〜笙とコントラバスの為に》

《音・音 / Sound Sound Ⅲ-b 〜笙とリコーダーの為に》

《音・音 / Sound Sound Ⅲ-c 

        〜バンドネオンとコントラバスの為に》

《音・音 / Sound Sound Ⅳ 

         〜尺八、二十絃箏、打楽器群の為に》

となっています。

そして

《音・音 / Sound Sound Ⅴ》

        〜箏とオルガンの為の幻想曲〜

の誕生となりました。

更に明日初演予定だった最新作が、

《音・音 / Sound Sound Ⅴ-b》

        〜二面の箏とオルガンの為の幻想曲〜

という訳です。

近い将来にあらためて初演の機会を設定するつもりです。

 

・・・・・2019年の元ヴァージョン初演演奏会・・・・・

     邦楽演奏会「和のいろは」
[日時]7月27日(土) 開場13:30 開演14:00
[会場]洗足学園音楽大学シルバーマウンテン1F 入場無料
 

 

今度は、この作品の箏パートを箏二重奏に改変して

新しいヴァージョンを創ることにしたという訳です。

大学院生にもう一人の箏専攻生が居るので、

オルガンと箏二面で演奏できるヴァージョンを用意して、

2020年3月15日にサントリーホール・ブルーローズで開催となる

〖洗足学園音楽大学 大学院スペシャルコンサート〗

で初演ということになっていたのです。

しかし、新型コロナウィルス感染拡大抑止策の中で

演奏会そのものが開催中止となり、初演も見送りになりました。

近い将来にあらためて初演のご案内ができるように、私自身も願っているところです。

 

(開催中止になった2020年3月の演奏会のチラシの表紙です)