皆さんは、"許可さん" をご存知でしょうか。
日本語の許可証の許可ではありません。
中国の代表的な民俗楽器=二胡の国際的演奏家の
許可(シュイ・クゥ/Xu Ke)さんです。

SMC10/6二胡公演

2013年の10月6日(日)に久しぶりに
許可さんと一緒にコンサートを開催しました。
更にその後、許可さんは洗足学園音楽大学の客員教授に就任されて、
2016年度から作曲コースの特別専攻という形で、
二胡を専攻する学生の入学を受け入れることが
できることになりました。
更に2018年度からは、新設されたワールドミュージックコース
の専攻楽器の一つとしてノミネートされました。
大学院では作曲専攻の中に二胡専攻生を受け入れています。
二胡を学べるキャンパスの誕生です。

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許可氏は、このブログ記事の<新世紀への讃歌>テーマの
各曲の紹介の中でも何度か触れた、
中国の作曲家達と同世代の音楽家です。
文化対革命期の直後に再開された北京中央音楽院で、
彼らと共に研鑽を積んだ音楽家です。

西洋オーケストラとの協奏曲独奏にも堪え得る音量や、
人工ハーモニクスをはじめとするヴァイオリンで可能な
奏法のほぼ全てを可能にするなど、
楽器や奏法の国際化・近代化に尽力され、
二胡(胡弓)を、民俗音楽の伴奏楽器から
国際的な独奏楽器に一気に高めているパイオニアです。

卒業後は、若くして北京中央民族楽団首席奏者や
中国芸術家代表団(訪米楽旅)コンサートマスター
等を歴任した後、
活動を世界に拡げる決意をした許可氏は、
まず最初の拠点を日本の東京に定めました。
もっとも、最初から音楽の仕事があるものではなく、
アルバイトをしながら活動を始めて、苦労をしながら
徐々に日本での知名度を上げていったのです。

その頃(1990年代前半)、
中国人作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏が
日本で急速に注目されるようになって、
度々来日していました。
氏とは、<ACLアジア音楽祭90東京ー仙台>で
懇意になって以来、
折りに触れて一献傾ける機会を持っていた私は、
ある時(たしか六本木界隈で食事をしていた時)、
「貴方に紹介したい人物が居るので、
今からここに呼びましょう」
と言って、中国語で電話をかけはじめました。
それから小一時間後、流暢な日本語を操る朗らかな人物が、
人懐こい笑顔を湛えて現れました。
それが、許可氏だったのです。

すっかり意気投合した我々3人は、許可氏の為に
二胡作品を書いていくことを約束しあったのでした。

そして実際に、その後の数年の間に、
私は二胡の為の作品を書いていったのです。
そのタイトルは<天風愛舞和庵>となりました。
なんと読むか・・・それは明日の記事でご披露しましょう。


写真は、私の大のお気に入りの許可氏のCDの一つです。
中国の伝統楽曲の極上のエッセンス満載です。
[弦中韻~胡弓の調べ~許可] BMG Hong Kong / 8.242144

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-許可CD/弦中韻