松尾祐孝の自作品紹介です。
###PHONOSPHERE Ⅲ
~オーケストラという名の打楽器群の為に
(2001)###
♪♪♪国際連作共作「新世紀への讃歌」
第1曲:序章~人類の未熟さに対して~♪♪♪
東京フィルハーモニー交響楽団委嘱作品
初演:2001年10月/東京オペラシティコンサートホール
東京フィルハーモニー交響楽団特別演奏会
アジア環太平洋作曲家シリーズvol.4
演奏:指揮=渡邊一正 合唱=東京少年少女合唱隊
この作品は、この企画立案当時の東京フィル常任指揮者
大野和士氏とともに構想を練った国際企画
<アジア環太平洋作曲家シリーズ>(1998~2001>の
最終公演= [新世紀への讃歌] の国際連作の第1曲として、
また独立した一曲の管弦楽曲として構想・作曲した作品です。
絶対音楽としてお聴きいただける作品ですが、
同時に下記の通りのストーリーと数理的因果関係を盛り込み、
私なりの世界平和と地球環境保全へのメッセージを、
楽曲の構造そのものに内包しています。
瞑想的な短い序奏の後、100小節の主部に入ります。
その前半44小節は非楽音(つまり噪音)が主体の
音響に終始して、45小節目でカタストロフが襲います。
46小節から今度が楽音が主体となりつつ
次第にヴォルテージを上げて、
やがて時の流れが速くなっていくような時空の渦に
巻き込まれていくように高揚していき、
100小節の主部を終えて突然コーダ=終結部に入ります。
このコーダは10小節ありますが、
危機への警鐘を暗示する鐘の音は8小節で何とか止ります。
45小節までは帝国主義が是とされた未熟な人類の時代、
つまり第2次世界大戦までの世界を暗示し、
46小節以降は戦後の復興と
情報化時代の目まぐるしさを暗示し、
コーダでは地球環境破滅へのファイナルカウントダウンが
辛うじてエイトカウントで止まる、
というストーリーになっているのです。
主部の100小節とエイトカウントの8小節を足すと
合計で108小節になり、
仏教思想における煩悩の数に一致しています。
「新世紀の讃歌」全曲の紹介はまたの機会に譲りますが、
CD(下の写真)の紹介をしておきましょう。
CD「共作連作<新世紀への讃歌>全曲世界初演」
企画:東京フィルハーモニー交響楽団
プランニング・アドヴァイザー:松尾祐孝
Live Notes / WWCC-7414