このブログでは、再三にわたってクラシック音楽の
さまざまな交響曲を紹介しています。
交響曲は、ハイドンを祖としてモーツァルトによって華やかさを増して、
ベートーヴェンによって有機的な構成を軸とする確固たる分野としての
方向性が決定づけられ、以後、ロマン派の作曲家達によって
個性豊かに発展をしてきました。
20世紀に入ると、ヨーロッパ社会の劇的な大変革と共に
芸術もその在り方を変え始め、交響曲という分野も変貌が始まります。
その中でも特に異彩を放つのが、アメリカの孤高の作曲家、アイヴスです。

今日は、私が好きな一曲を紹介しましょう。
勿論、アイヴスの番号付きの交響曲、
第1番から第4番の歩みも辿ってみてください。

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7月4日は、アメリカ合衆国独立記念日です。
アメリカが生んだ孤高の天才作曲家=チャールズ・アイヴス
の作品に「The Fourth of July」という管弦楽曲があります。
ようするに「独立記念日」という意味のタイトルです。
交響曲「ニューイングランドの休日」(Holidays Symphony)
の第3楽章として作曲されたものですが、
しばしば単独でも演奏されています。

###チャールズ・アイヴス
          交響曲「ニューイングランドの祝日」###
Ⅰ ワシントンの誕生日(Washington's Birthday)
Ⅱ 戦没将兵記念日(Decoration Day)
Ⅲ 独立記念日(The Fourth of July)
Ⅳ 感謝祭と清教徒上陸記念日
 (Thanksgiving & Forefathers Day)

とにかく、百聞は一試聴にしかず!? 実際に聴いてみてください。
ハチャメチャに面白いのです。
有名な行進曲「Columbia the Gem of the Ocean」が、
断片から次第に全容を現し、やがて崩壊していくような構成で、
更には全曲にわたって様々な引用がちりばめられています。
この交響曲は1897年から1913年の間に書かれたそうですが、
1913年と言えばストラヴィンスキーの「春の祭典」の作曲年です。
このアイヴスの「独立記念日」に比べると、
あの衝撃的な初演のエピソードが有名な「春の祭典」さえも、
何だか普通に感じられてしまうほどです。

4つの楽章を通して聴くと、最後の最後に合唱が出てくるところで、
ジーンと胸が熱くなる思いがしますよ!

チャールズ・アイヴス(1874-1954)は、
音楽好きではあったものの少々変わり者だった父親の影響を受けて、
相当に柔軟な感性を育んだらしいのです。
そして、二十世紀初頭という時代にも関らず、
第2次世界大戦後の前衛音楽の急進を先取りしたかのような
多重進行音楽構造やトーンクラスター等の音響を盛り込んだ、
とんでもなく革新的な作品を書いていた孤高の作曲家だったのです。

保険代理店業で実業家として大成功を収めつつ、
余暇の趣味として創作に励んだという人生も、
作曲家としては実にユニークです。

下の写真は、私の愛聴盤だったLPレコードのジャケットです。
ユージン・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団の演奏
によるアイヴスの交響曲「ニューイングランドの祝日」です。
RCA-Red Seal / RVC-2041

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