ジャン・シベリウス(1865~1957)は、
北欧のフィンランドが生んだ偉大な作曲家です。
特に、交響曲と交響詩の分野で偉大な功績を残しています。

交響詩の分野で傑作を多数書いた後、
1898年から1899年にかけて作曲した<交響曲第1番>
が高く評価されて、30歳代半ばにして、シベリウスは
シンフォニストの仲間入りを果たしました。
そして、1901年に次の交響曲を完成させ、
翌年に、ヘルシンキで自らの指揮で初演されました。
それは大成功となり、今日に至るまで、
シベリウスの全交響曲の中で最も演奏機会の多い
名曲という地位を保っています。

###シベリウス<交響曲第2番>ニ長調 作品43###

[第1楽章]
ソナタ形式による冒頭楽章です。
第1番とは異なり、いきなりさざ波を思わせるような
第一主題が奏でられます。
続く第二主題は、長く伸びた音がやがて動き出す
ユニークなものですが、これはシベリウス独特の語り口で、
既に<第1番>にその萌芽を見ることができます。

[第2楽章]
複合二部形式と言ってよいでしょうか。
シベリウス独特の緩徐楽章です。
北欧独特の寂寥感とキリスト教的な荘厳な雰囲気が
相俟って格調ある音楽になっています。

[第3楽章]
スケルツォ楽章です。シベリウスの<交響曲1番>と
<交響曲第2番>のスケルツォは、
交響曲の歴史全体を見渡しても、
スケルツォらしいスケルツォと言えるでしょう。
しかも、この<第2番>の場合、
ベートーヴェンの<交響曲第5番>の
第3楽章(スケルツォ)から終楽章へのアタッカと同様に、
第4楽章に向けて次第にヴォルテージを上げて
そのまま突入するという、
聴き手に大きな印象を与える手法を採っています。

[第4楽章]
第3楽章から続けて演奏される終楽章です。
構成はオースドックスにソナタ形式を採用しています。
第1楽章から一貫する北欧の田園風景を思わせる透明感と、
幾ばくかの寂寥感、そして肯定的な精神性がバランスして、
聴く者に勇気と感動をもたらしてくれる
素晴らしい作品になっています。

シベリウスの30歳代半ばに相次いで発表して、
祖国の聴衆に熱狂的に受け入れられた<フィンランデフィア>、
<交響曲第1番>、<交響曲第2番>の3曲は、
肯定的な高揚感と輝きに満ちた作品です。

しかし、この後、フィンランドの情勢を含む
ヨーロッパの社会情勢は、混迷の時代を迎えていきます。
シベリウスの交響曲も、第3番以降は変化を見せていきます。

シベリウス/交響曲第2番/シッパーズ盤

私の仕事場には、
ネーメ・ヤルヴィ指揮 / エーテボリ交響楽団のCDと
オスモ・ヴァンスカ指揮 / ラハティ交響楽団の両全曲盤CD
がありますが、更にお勧めの録音を挙げるとすると、
トマス・シッパーズ指揮
       / ニューヨーク・フィルハーモニック盤
<SONY SICC1691><CBS/SONY 13AC-26>でしょう。
実は、私はこのLPを持っています。シッパーズは、
アメリカ期待の星として人気実力を兼ね備えた
俊英でしたが、残念ながら肺癌のために30歳代半ばで
夭折してしまいました。想い出深い一枚です。