先々週から昨日にかけて続けて紹介した [新世紀への讃歌] シリーズでしたが、
皆様いかがでしたか。実際にCDをお聴きになりながら、
もう一度記事を読み返していただけると、更に更に嬉しいです。

♪♪♪国際連作共作「新世紀への讃歌」♪♪♪
全曲:東京フィルハーモニー交響楽団委嘱作品

初演:2001年10月19日/東京オペラシティコンサートホール
    東京フィルハーモニー交響楽団特別演奏会
      アジア環太平洋作曲家シリーズvol.4
プランニング・アドヴァイザー:松尾祐孝
演奏:指揮=渡邊一正
独唱:ソプラノ=リー・ビュンリウル バリトン=河野克典 
合唱=東京少年少女合唱隊

CD「共作連作<新世紀への讃歌>全曲世界初演」
   企画:東京フィルハーモニー交響楽団
   プランニング・アドヴァイザー:松尾祐孝
   Live Notes / WWCC-7414 
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-新世紀への讃歌CD

それにしても、アジア環太平洋文化圏出身の
このシリーズの作曲家達の多様性と頼もしさは実に壮観です。

第2曲の作曲家=陳圭英氏は、
韓国で学んだ後にドイツで研鑽を積み、
帰国後は、大邱の嶺南大学やソウル大学を拠点に、
韓国音楽界の重鎮として活躍しています。

第3曲の作曲家=于京君氏は、
北京中央音楽院で学んだ後に、
日本やアメリカで研鑽を積んだ後に、
最終的にオーストラリアに拠点を定め、
旺盛な活動を展開しています。

第4曲の作曲家=Diego LUZIRIAGA氏は、
12人兄弟の11番目に生まれ、
エクアドルの首都キトで学んだ後に、
パリやニューヨークで研鑽を積み、
一時期はブラジルやロンドンを拠点とした後、
現在はフィラデルフィアに住んで活躍しています。
現代音楽のみならずフォルクローレに通じる歌曲なども
手掛けていて、近年ではオペラの新作が注目されています。

第5曲の作曲家=周龍氏は、
文化大革命の閉塞状況を経験した後に、
北京中央音楽院で学び、その後欧米で研鑽を積み、
現在はニューヨークやカンザスシティを拠点に
活発な活躍を展開しています。

第6曲の作曲家=Lance HULME氏は、
ミネソタ大楽、イーストマン音楽院、イェール大学で
学んだ後にウィーンでも研鑽を積み、
ルトスワフスキ国際作曲コンクール第1位をはじめ
数多くの受賞を重ねています。
現在はドイツのカールスルーエを拠点に活躍しています。

第7曲の作曲家=Chinary UNG氏に至っては、
創立間も無いカンボジア音楽院で学んだものの、
その環境は甚だ貧相なもので、
ピアノとクラリネット位しか設備や備品が無く、
洪水に襲われた時にはそのピアノが水にプカプカ
浮いていたというような経験にも遭遇した後、
ポルポト政権の圧政下から留学でアメリカの逃れ、
以後、アメリカを拠点にヒューマンな作品を書き続け、
音楽のノーベル賞と言われるグローメイヤー賞の受賞で、
国際的な知名度を高めました。

第8曲の作曲家=Ignacio BACA=LOBERA氏は、
祖国で学んだ後にカリフォルニア大学サンディエゴ校で
研鑽を積み、更にパリやドイツでも研鑽を積んでいます。
世界各地の現代音楽祭等で作品が紹介され、
現在は祖国の大学を拠点に、活発な活動を展開しています。

母国に居ながらにして、大抵の文献が母国語訳で入手でき、
日々の生活にも事欠かずに豊かで安全な暮らしができる、
そんな恵まれた日本人からは想像もできないような
境遇や難局を乗り越えて、彼らは逞しく生き、
自己研鑽を継続して、今日に繋いできたのです。
つまり自分を信じるて多大な努力を継続する力=
才能があったということです。

何度も言うようですが、才能は皆さんの心の中に在るのです!


今日の写真は、パリのサンクレール寺院です。
白亜の佇まいと青い空のコントラストが美しかったです。
2010年秋、リスボンの現代音楽祭からの帰路に
花の都=パリにも立ち寄りました。
パリには、自分の才能を信じて研鑽を積む者たちが、
世界中から集まっています。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-サンクレール寺院