東京フィルハーモニー交響楽団<アジア環太平洋作曲家シリーズ>
最終回の第4回は、2001年10月19日に、
東京オペラシティ/コンサートホールで開催されました。

いよいよ待望の国際共作連作 [新世紀への讃歌] の世界初演が
実現するということで、その年の私は正に興奮状態でした。
しかも、別件の大プロジェクト=<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>
(同年10月3~10日/横浜みなとみらいホール)の実行委員長も務めていた
時期でしたので、それはもうとんでもない忙しさでした。

漸く8月に本プロジェクトのホスト役としての序章の作曲を終えて、
この初演演奏会のプログラム・ノートの執筆を進めていた矢先、
あの "9.11=アメリカ同時多発テロ" が起きてしましました。

各曲の内容については、明日以降の記事で各々紹介していきましょう。

###東京フィルハーモニー交響楽団
        <アジア環太平洋作曲家シリーズ>###
    第4回「そして世界へー新世紀への讃歌」
  2001年10月19日/東京オペラシティ コンサートホール
 指揮:渡邊一正 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
 ソプラノ:李 丙烈 / リー・ビュンリウル(韓国) 
 バリトン:河野克典(日本)
 児童合唱:東京少年少女合唱隊

プログラム 共作連作 [新世紀への讃歌] 
           全曲委嘱作品世界初演

序章~人類の未熟さに対して 松尾祐孝 / Masataka Matsuo
 オーケストラ+児童合唱 (日本)

土の未来~母なる大地へ   陳圭英 / CHIN Kyu-yung
オーケストラ+ソプラノ       (韓国)

水の未来~川へ、海へ    于 京君 / Julian Yu
 オーケストラ+児童合唱   (中国/オーストラリア)
                   
空気の未来~森へ、大気へ  ディエゴ・ルズリアガ /
オーケストラ+バリトン  Diego Luzuriaga (エクアドル) 
            
火の未来~エネルギーへ   周 龍 / Zhou Long
 オーケストラ+児童合唱         (中国/USA)

宇宙の未来~星たちへ   ランス・ヒューム / Lance Hulm
オーケストラ+ソプラノ            (USA)

命の未来
 ~人へ、まだ見ぬ命たちへ チナリー・ウン / Chinary Ung
オーケストラ           (カンボジア/USA)
 +ソプラノ+バリトン     

エピローグ~希望      イグナチオ・バカ=ロベラ /
 オーケストラ+    Ignacio Baca=Lobera(メキシコ)
 ソプラノ+バリトン
 +児童合唱

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このアジア環太平洋作曲家シリーズの第1回から第3回に
作品を提供していただいた作曲家を主体として、
各曲の委嘱作曲家の人選と全8曲のテーマを、
大野和士氏(当時の東京フィル常任指揮者)と
私とで策定していきました。
全8曲の演奏編成の調整と委嘱の打診は、
全て私から各作曲家にコンタクトして、
協議・決定していきました。
皆さん、この共作連作の意義を充分に理解していただき、
素晴らしい楽章を作曲してくれました。
しかも、各曲が、独立した管弦楽作品としても
自立できる作品になっていることも、
私にとっても、作品自体にとっても、
大きな歓びと言えるでしょう。

結局、このシリーズ実現の陰の立役者の大野和士氏には、
この頃には益々国際的に多忙となられたために
スケジュールの調整ができず、この企画の指揮台に
立っていただくことができなかったのですが、
若手俊英の沼尻竜典氏(第1・2回)と
渡邊一正氏(第3・4回)のタクトによって、
鮮やかに実現したのでした。
その全てのリハーサルと本番に立ち会うことができた
経験は、私にとっても大きな財産になっています。

この初演の演奏は、CDとしてリリースされています。
人類が機械文明と共に飛躍的な進歩を遂げつつ・・・
一方で度重なる大規模な戦争や動乱によって
大量の犠牲者を生み出してしまい・・・
また、化石燃料の使用な廃棄物によって
地球環境を刻々と悪化に追い込んで行った・・・
そのような20世紀を振り返りつつ
(ホスト役としての序章)、
未来への希望を各作曲家が作品で紡いで行くという、
新世紀開幕の年の音楽文化モニュメントを、
一人でも多くの方にお聴きいただければ幸いです。

東京フィル 共作連作 [新世紀への讃歌] 全曲委嘱初演
Live Notes / WWCC-7414
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-新世紀への讃歌CD