東京フィルハーモニー交響楽団<アジア環太平洋作曲家シリーズ>第2回は、
2000年3月3日に東京オペラシティのコンサートホールでの開催となりました。
題して「ラテンアメリカへのまなざし」です。
この回には、海外作曲家4名中の3名が来日してくださり、
国際文化交流プロジェクトに相応しい雰囲気になりました。

###東京フィルハーモニー交響楽団
       <アジア環太平洋作曲家シリーズ>###
    第2回「ラテンアメリカへのまなざし」
 2000年3月30日/東京オペラシティ コンサートホール
指揮:沼尻竜典 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
篠笛:西川浩平(日本)

プログラム
李 圭鳳 / Yi Gyu-Bong(韓国)
     :室内アンサンブルのための"祭禮"(日本初演)
ディエゴ・ルズリアガ/Diego Luzuriaga(エクアドル)
     :<LITURGIA・礼拝>~篠笛と管弦楽の為に~ 
     (異文化交歓協奏曲シリーズ第2弾・世界初演)
イグナチオ・バカ=ロベラ(メキシコ):"未知の領域"
陳 怡 / CHEN Yi(中国): "交響曲第2番" (日本初演)

李圭鳳氏は長くドイツで研鑽を積んだ韓国出身の若手で、
当シリーズを立案した当時の東京フィル常任指揮者=
大野和士氏からの紹介でした。
当公演に相応しい大編成の作品が無かったので、
室内オーケストラ編成の作品になりましたが、
存在感たっぷりの作品でした。

エクアドル出身のDiego Luzuriaga氏と日本の間には、
1992年のISCMワルシャワ大会での私との出会いの後、
深い縁が育まれていきました。
そして、氏の故郷=アンデスの民に伝わる
伝統楽器にも近似した篠笛に大変愛着を感じたディエゴに、
私は協奏曲を委嘱したのです。
期待に違わぬ、民族性と現代性と娯楽性が見事に融合した、
2楽章構成の素敵な協奏曲が誕生しました。
祖国に伝わるアンデスの笛に共通する音楽性を
日本の篠笛に見出した作曲家による
異文化交歓協奏曲が誕生したのでした。
後年、私の指揮で再演もされていますし、
更に祖国エクアドルでも演奏されています。
独奏の西川浩平氏のCDには、
この初演の演奏が収録されています。

イグナチオ・バカ=ロベラ氏は私とほぼ同い年の俊英です。
1993年<ISCM世界音楽の日々'93メキシコ大会>
に日本史部代表として現地に赴いた時に面識を得ました。
この作品は、氏の出世作になった管弦楽曲で、
日本の国際的作曲賞に一つの "入野賞" を受賞したもので、
新日本フィルハーモニー交響楽団で初演されています。

陳怡さんは、アメリカのカンザス音楽院を拠点に活躍する
中国出身の女性作曲家です。
許可さん(先日来度々登場の二胡奏者)
の紹介によって、連絡をとる事ができました。
代表作と目される量感たっぷりの大作 "交響曲第2番" は、
正にコンサートのトリを執るのに相応しい
風格ある音楽でした。


写真は、上記のルズリアガ作品が収録されている
西川浩平さんのアルバムCDです。
Flutist from the East vol.3 西川浩平 /
Live Notes / WWCC-7415

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-LITURGIA/西川浩平CD