新型コロナウィルス禍の混迷からようやく脱却し始めている人類・国際社会ですが、
文化・芸術・スポーツといった人間が人間である証とも言える営みを、
絶やさずに次代に繋いでいきたいものです。

そこで、あらためて、20世紀末から21年前にかけて、
私自身も構想段階から参画して開催した
世界平和に繋がる企画を振り返っていきましょう。
世界の平和を考えながら、<アジア環太平洋作曲家シリーズ>について、
お話していくことにしましょう。

1998年から2001年にかけて企画・開催されたシリーズで、
当時の東京フィル常任指揮者=
大野和士と私がタッグを組んで、
アジア環太平洋圏出身の作曲家からの人選や
プログラミングについて相談をしながら策定した、
オーケストラを舞台として国際交流プロジェクトでした。

4年度・4回にわたり環太平洋圏出身の国際的俊英による
現代作品を紹介していくシリーズでしたが、
前述の経緯の通り、その作曲家の人選と選曲を、
私がプログラミング・アドヴァイザーとして担当しました。
当時の東京フィル常任指揮者=大野和士氏とも
緊密に検討しながら、人選と曲目を策定していったのです。

最終回は、委嘱共作連作による [新世紀への讃歌] の
新世紀開幕の年の世界初演とすることが、
このシリーズの最終目標として決まっていました。
そこへ至る3回のテーマも含めて、
諸々の条件を勘案していき、
第1回「アジアから」、
第2回「ラテンアメリカへのまなざし」、
第3回「北米とオセアニアを経て」、
第4回「そして世界へ~新世紀への讃歌」
という各回のテーマが決定しました。

更に、<天風愛舞和庵>シリーズの記事でも紹介してきた
胡琴協奏曲の構想をも盛り込んで、
私からの提案として、第1回~第3回に、
異国・異文化圏の伝統楽器を1曲ずつプログラムに組み込む
"異文化交歓協奏曲シリーズ" を
盛り込むことにもなったのです。

明日から、シリーズ各回の内容とそれに纏る
エピソードについて、ご紹介していきましょう。
下の写真は、全4回のプログラム冊子の表紙です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-アジア環太平洋シリーズ冊子

現在のオーケストラ界で、ここまで思いきった企画は
なかなか建てられない状況にあるようですが、
今年の東京オリンピック&パラリンピックや2025年開催予定の大阪万博を
契機として、あらためて、音楽芸術文化の分野における有意義で創造的な
国際交流プロジェクトの活性化が望まれます。