和太鼓(祭太鼓)をフィーチャーした管弦楽曲<活気ある風景〜Lively Scenes> | 松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

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数多くの伝統楽器(邦楽器)や伝統芸術・伝統芸能に恵まれている
日本に生まれて、作曲家となった私の使命として、
30歳前後から邦楽器作品の作曲や邦楽器作品の演奏の発展を
ライフワークの柱に据えている私です。

あらためて自作の邦楽器関連曲を網羅しながら、
今までの軌跡を振り返っていきたいと思います。
暫くの間、昼の記事シリーズとしてアップしていきます。
お時間の許す時のご覧ください。

富士山写真3

私が本格的に邦楽器のための作品の作曲に
取り組むようになったのは1991年からでしたが、
それ以前にも、和太鼓(祭太鼓/大胴)を使用した
オーケストラ作品を書いたことがありました。
今日は、その作品をご紹介しましょう。

私にとって初めての海外体験となった
ISCM-ACL1988年大会の終了後、その開催を記念した
"Impressions of Hong Kong コンクール" が
行われました。それに応募するために書き上げた作品が、
協奏交響曲<活気ある風景>
(英題:Lively Scenes)でした。

<ISCM-ACL World Music Days '88 Hong Kong>
の開催終了後、その主催者から、
音楽祭に参加した世界中の作曲家を対象に、
”Impressions of Hong Kong" (香港の想い出)を
題材として管弦楽作品の募集があったのです。
第1位作品には、賞金が授与されると共に、
香港フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会で
世界初演されるという素晴らしい特典が付与される
ということで、一念発起して応募を決意したのでした。

私にとって海外初体験となった1988年の香港は、
超高層ビルが林立する西欧的近代性と、
その足元を行き交う木造二階建ての旧式車両による
トラム(路面電車)との対照、そして、
出店や屋台がひしめき合う裏路地に見る庶民の活気、
等々が・・・私の強烈な印象をもたらしてくれました。

そのような印象や想い出を込めて、
ティンパニ奏者が祭太鼓(日本のものでも中国のものでも可)
を叩く "プロローグ" で傲然と始まり、
"目まぐるしい風景" が
色彩的なオーケストレーションによって旋回する第1部、
"渾沌と決然" が対照される第2部、
そして "活気ある風景" が突き進む第3部=フィナーレ
という構成による単一楽章作品が誕生したのです。

そして幸運にも、この作品が第1位を受賞しました。
1988年のACL青年作曲賞第1位に続いて、
香港は私に幸運をもたらしてくれました。

####協奏交響曲<活気ある風景>(1989)####
LIVELY SCENES
Impressions of Hong Kong コンクール第1位受賞作品

演奏時間:約16分

世界初演:1991年4月/香港大会堂
香港フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
演奏:指揮=尾高忠明  

日本初演:1998年3月/かつしかシンフォニーヒルズ
     日本現代音楽協会<現代の音楽展'98>第5夜
     ~オーケストラの夕べ~
演奏:指揮=小松一彦 管弦楽=東京交響楽団

NHK-FM収録:1998年7月
演奏:指揮=高関 健 
管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団

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日本初演を指揮していただいた小松一彦氏は、
誠に残念なことに先年に鬼籍に入られてしまいました。
現代音楽界に大きく貢献された方でした。
ご冥福をお祈りいたします。

写真は、5年前に next mushroom promotion の
皆さんと香港を訪ねた時に撮った風景です。
西欧的近代性とアジア的渾沌の共存と対照です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-香港の超高層ビル群

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-二階建てトラムの行き交う香港の大通り