メルヘン漂う名曲<マ・メール・ロア>をご存知でしょうか。
英語で言うなら「マザー・グース!」という事になります。
フランス近代音楽の名作曲家=モーリス・ラヴェルの作品です。

キール・ロワイヤル

元々は4手ピアノ連弾曲としてとして、
1908年から1910年にかけて作曲されました。
そして翌1911年には、
5曲による組曲をそのままオーケストレーションした
管弦楽組曲が誕生しています。
更には、バレエ音楽化の依頼も受けてラヴェルは、
曲順を入れ替えて間奏曲を何個所なに挿入した
バレエ音楽版も再構成して、1912年に初演されています。

ここでは、5曲建てによる管弦楽組曲を
紹介しておきましょう。

第1曲:眠れる森の美女のパヴァーヌ
    (Pavane de la belle au bois dormant)
もともとこの作品の誕生の切掛となった最も易しい
連弾曲として誕生した静かな序曲のような楽章です。

第2曲:「親指小僧」(Petit Poucet)
「一寸法師」と訳されることもあります。
不思議な雰囲気の和音に乗せて、
おとぎの国に誘われていきます。

第3曲:「パゴダの女王レドロネット」
    (Laideronette, impératrice des pagodes)
パゴダとは中国製の首振り陶器人形のことなのだそうです。
この作品が書かれた頃のパリの東洋への異国趣味=
エキゾチズムが伺われる楽章です。
全5曲の中で最も快活な楽想を持っていて、
作品全体を引き締めています。

第4曲:「美女と野獣の対話」
    (Les entretiens de la belle et de la bête)
ワルツのリズムに乗せて、軽やかな音楽が奏でられます。
中間部に野獣が登場するところがユーモラスでもあります。

第5曲:「妖精の園」
    (Le jardin féerique)
「眠れる森の美女」のストーリーの中で、
眠りについた王女が王子の口づけで目を覚ますシーンを
描いている、心温まる終曲です。

さて今日は、洗足学園音楽大学フルート・オーケストラの
演奏による YouTube をリンクしておきましょう。