"DISTRACTION"シリーズの紹介を続けます。
この第5作は例外的に邦楽器をフィーチャーしています。

###DISTRACTION Ⅴ
for Shakuhachi and Twenty-string Koto###
        ディストラクション第5番
       ~尺八と二十絃箏の為に~
        (1998/2005)
 メキシコ<セルバンティノ芸術祭2005>招待初演作品

演奏時間:約15分

初演:2005年9月 メキシコ・グアナフアト
<セルバンティノ芸術祭2005>
演奏:尺八=三橋貴風 二十絃箏=吉村七重

日本初演:2006年3月 横浜みなとみらい 小ホール
     現音<現代の音楽展2006>尺八フェスタ
演奏:尺八=三橋貴風 二十絃箏=吉村七重


このシリーズ第5作は、例外的に邦楽器の組み合わせです。
ピアノを二十絃箏に置き換え、任意の管弦楽器を尺八とした訳です。

当初のこの組み合わせで書くきっかけは、
ドイツとの交流プロジェクトの一環としての企画が
浮上したことにありましたが、
作曲途上でこのプロジェクトが頓挫してしまい、
暫くお蔵入りになっていたのでした。
その後、今度はメキシコとの国際交流の企画が立ち上がり、
構想から7年を経てようやく初演に辿着いたのでした。

長年にわたりメキシコに根を張って、
国際文化交流や教育活動に尽力されている
ヴァイオリニスト=黒沼ユリ子氏のご尽力によって、
三橋貴風氏(尺八奏者)と吉村七重氏(箏奏者)のお二人と、
メキシコの気鋭の打楽器アンサンブル=TAMBUCOとの
協働が実現することになったのでした。

邦楽器とTAMBUCOのジョイント・コンサートでは、
2邦楽器と打楽器アンサンブルの為の音楽祭委嘱作品の
初演が、三橋氏と吉村氏のデュオ・コンサートでは、
この作品の招待初演が、組まれることになり、
一つの音楽祭<セルバンテフィ芸術祭2005>で
2曲の世界初演の機会を得ることができました。

実は私は、1993年にもメキシコを訪ねていて、
まさかの生涯二度目のメキシコ旅行でもあった訳です。
これらのメキシコ演奏旅行についてや、
TAMBUCOと報楽器の為の作品についても、
何れ記事でご紹介したいと思っています。

この第5作は、初演・日本初演を見事に飾っていただいた
このお二人の名人芸を意識したもので、
西欧楽器に匹敵する機能性と
邦楽器独特の振幅の広い表現力が
濃密に発揮されつつ、音響の時空を生成していきます。

今日の写真は、三橋貴風氏CD名盤のご紹介です。
三橋貴風/竹籟五章 CAMERATA / 30CM-303

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-CD竹籟五章