音楽家・作曲家への道のり第一歩は、
まず、音楽通・音楽愛好家になることです。
好きで好きでたまらない音楽を聴き抜いて、調べ抜いて、
楽しみ尽くす心をなくして、プロにはなれません。

私は、折りに触れて、現代音楽の作曲家の仲間や知人と、
一献ご一緒することがあります。
時には、古今東西の作曲家の書いた「交響曲第#番」の中で、
最高傑作はどれだろうか・・・といった話題で、
何時間も話が尽きないこともあります。

何だかマニアックだなあと思われるかもしれまえんが、
考えてみれば、車の話題、スポーツの話題、歴史の話題、等々
好事家が集まっての談義がそれぞれにマニアックな訳です。

このブログでは、これまでに、
「交響曲第1番ベスト・ワン!?」から
「交響曲第10~番(二ケタ番号)ベスト・ワン!?」までの
話題を提起してきました。
そして今回は、最後の、正に番外編として、
「交響曲」(番号無し等)ベスト・ワン!?」
を探訪してみましょう。

先ず、ベートーヴェンの直後の時代に
先進的な標題交響曲を数多く書いた、
ベルリオーズの作品に触れない訳にはいきません。

「幻想交響曲」は、いきなりの本命候補です。
個人的には、昨年暮のアンサンブル・ヌーボーの演奏が
まだ記憶に新しいところです。
往年の名指揮者=アンドレ・クリュイタンスのタクトで
壮絶な名演を聴かせてくれたパリ音楽院管弦楽団の
1964年の来日公演のライヴCDは、今なお燦然と輝く名盤です。

ベルリオーズ「幻想交響曲」
アンドレ・クリュイタンス指揮
パリ音楽院管弦楽団(パリ管の前身)
1964年来日公演ライヴCD
ALTUS / ALT-003
クリュイタンス幻想交響曲ライヴ盤

交響曲「イタリアのハロルド」は、
実質的にはヴィオラ協奏曲です。私が、
自作<フォノスフェール第1番~尺八と管弦楽の為に>
と共に帯同した東京フィルハーモニー交響楽団の
"ヨーロッパ演奏旅行1994"にもプログラミングされていて、
何度も聴き重ねた想い出があります。

劇的交響曲「ロミオとジュリエット」は、
後のマーラーを想起させるような大作です。
その他、交響曲とは題されていませんが、
劇的物語「ファウストの劫罰」も、交響的な大作です。

その他、フランクの交響曲も素晴らしい傑作です。
第1楽章のソナタ形式の扱いが、ベートーヴェンの「第9」
の第1楽章の発展型と解釈できます。
3楽章構成の素晴らしい作品です。

ショーソンの「交響曲」、
ダンディの「フランスの山人の歌による交響曲」等々、
フランスの作曲家には今日の話題の対象となる
番号無し交響曲作品が目白押しです。
19世紀後半から、フランスには独自の
三楽章交響曲の伝統が根付いたと捉えられます。

チャイコフスキーには番号付の6曲以外に、
「マンフレッド交響曲」があります。
日本ではほとんど演奏されませんが、ヨーロッパでは
メジャーオーケストラのプログラムにも散見されます。
なかなかの名曲です。

20世紀に入ると、定型にあてはまらない楽曲が増えてきます。
ストラヴィンスキーの交響曲群もその典型例と言えるでしょう。
「交響曲ハ調」「三楽章の交響曲」「詩篇交響曲」と
玄人好みの名曲があります。

バルトークには、
交響曲というタイトルこぞ冠していないものの、
実質的には交響曲に類する名曲があります。
「弦・打・チェレスタの為の音楽」と
「管弦楽の協奏曲」です。
どちらも名曲として定番の作品です。

イギリスの作曲家=ブリテンにも
自由な構成の交響曲があります。
「鎮魂交響曲」「春の交響曲」「チェロと管弦楽の交響曲」、
どれもレパートリーの定着している名曲です。

アイヴスの交響曲「ニューイングランドの祝日」は、
私が大好きな作品であり、また問題作でもあります。

第2次大戦以降の世代にまで視野を広げていくと、
もうそれこそ枚挙に暇がないことになってしまいそうです。
番号無しではありませんが、バーンスタインの
交響曲第2番「不安の時代」は、私の大好きな作品です。

とっておきの私の隠し球は・・・
交響曲というタイトルではありませんが、
4楽章交響曲の伝統と前衛音楽の気概と
トーンクラスターの音響が見事に融合した作品、
ルトスワフスキの「オーケストラの為の書(本)」
Livre pour Orchestre を挙げておきましょう。
素晴らしい名曲です。

YouTube / Witold Lutoslawski. Livre pour orchestre.
     (指揮=Günther Herbic 管弦楽=RTVE.)


この記事シリーズはこれにて完結となりますが、
また折りに触れてオーケストラの名曲を探訪していきましょう。
若い皆さん、是非オーケストラを聴きましょう!