音楽家・作曲家への道のり第一歩は、
まず、音楽通・音楽愛好家になることです。
好きで好きでたまらない音楽を聴き抜いて、調べ抜いて、
楽しみ尽くす心をなくして、プロにはなれません。

私は、折りに触れて、現代音楽の作曲家の仲間や知人と、
一献ご一緒することがあります。時には、
古今東西の作曲家の書いた「交響曲第#番」の中で、
最高傑作はどれだろうか・・・といった話題で、
何時間も話が尽きないこともあります。

何だかマニアックだなあと思われるかもしれまえんが、
考えてみれば、車の話題、スポーツの話題、歴史の話題、
建築の話題、鉄道の話題、等々、
好事家が集まっての談義がそれぞれにマニアックな訳です。

では、あらためて皆さんにも話題を提起しましょう!
「貴方の交響曲第4番ベスト・ワンは誰の作品ですか?」
マニアックな答えがある方は、
是非メッセージをお寄せください。

ご参考までに、私なりの考察を披露しておきましょう。

ベートーヴェンの第4番は、
第3番「英雄」と第5番の間に挟まれて、
いくぶん地味な印象ではありますが、
玄人筋には評価の高い名曲です。

メンデルスゾーンの第4番「イタリア」は、
演奏時間は30分足らずで規模が大きい曲ではありませんが、
北ヨーロッパ人の地中海性気候のイタリアへの憧れが
素直に表現された名曲ですね。

シューマンの第4番は、通常の4つの楽章を
ひと繋ぎにして、単一楽章幻想曲風にしたような、
この時代としては特異な交響曲ですが、
独特の魅力があります。

ブラームスの第4番は、終楽章のパッサカリアの再発見が、
音楽史上に燦然と輝く名曲です。
この作曲家独特のロマンティシズ厶を湛えた名曲ですね。

チャイコフスキーの第4番は、
所謂「後期三大交響曲」の最初ですが、
各楽章がそれぞれに思いきったスタンスで書かれていて、
好みの分かれるところはあるでしょうが、
印象が極めて強い作品であることは間違いありません。
第4番ベストの有力候補と目されます。

ブルックナーの第4番「ロマンティック」は、
スムーズな聴き易さとを湛えていることもあって、
この作曲家の交響曲の中では
最もポピュラーな存在でしょう。
案外、有力な候補かもしれません。

マーラーの第4番「天上の生活」は、この作曲家の
交響曲の中では極めて得意なタイプでもあり、
ベスト1というタイプの作品ではないかもしれませんが、
何しろマーラーの交響曲の存在感の大きさですから、
決して無視はできません。

スクリャービンの第4番「法悦の詩」は、
交響曲と交響詩の伝統を融合したとも言えるような、
独自の地歩を築いた傑作です。
私としては、相当に有力候補と言っておきましょう。

シベリウスの第4番は、燻し銀の中の燻し銀といった
感のある、内省的な魅力を湛えた作品です。
地味ではありますが、知る人ぞ知る名曲です。

その他、オネゲルの第4番「バーゼルの喜び」、
ルーセルの第4番といった、小粒ながらピリリと辛い、
佳曲達が、20世紀前半に少なからず誕生しています。

そんな中で、滅多に演奏されない作品ではありますが、
好事家の間で評価が高い作品に、ショスタコーヴィチの
第4番があることも忘れてはなりません。

アメリカには、アイヴスの第4番という、
かなり衝撃的な交響曲も存在します。

それにしても、「交響曲第4番ベスト・ワン」は、
私としても大いに悩みます・・・
ここは王道を行って、ブラームスかな・・・

私の愛聴盤は、ギュンター・ヴァント盤です。

ブラームス「交響曲第2番&第4番」
ギュンター・ヴァント指揮/北ドイツ放送交響楽団
BMG / BVCC-37253

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ブラームス第4番ヴァイト盤