ISCM国際現代音楽協会の<世界音楽の日々>音楽祭100周年に寄せて、
開催から23年が経過したISCM横浜大会の回想録を続けています。

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四年前の2020年は、1930年に新興作曲家連盟として産声を上げた
現 特定非営利活動法人 日本現代音楽協会(通称:現音)の
創立90周年にあたりました。
現音は、1922年に創設された国際現代音楽協会(ISCM)に、
非西欧系国としては最も早い1935年に加盟をして、その日本支部となっています。
そして2001年に、長年の懸案であったそのISCM世界音楽祭を
日本が主催して開催できたのでした。
このところ、その音楽祭の開催準備秘話や
実際に開催した各演奏会等のイベントについての回想録をアップしています。

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<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会
   ~日本現代音楽協会新世紀音楽祭>
公演回顧シリーズ vol.17

《“こどもみらい2001” コンサート2》
10月8日(月)16:00開演/
横浜みなとみらいホール 小ホール

<こどもみらい2001>としての3日目のイベントです。
(<こどもみらい2001>の概要説明については、
 9月18日の記事をご覧ください。)

コンサートの開演前に、隣接するレセプションルームを
活用して実施されたワークショップを見学するという
趣向を、ここでも採用して、開場しました。

1) 音のかけら
 [ワークショップリーダー]
 金澤健一(美術家)
 永田佐知子(打楽器奏者)
 [アシスタント] 
 新倉美佳(音のかけら事務局)

 参加者=
  横浜市立浦島小学校
  一般公募による参加者(小学校4年生~一般)

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-音のかけらWS


そして、小ホールのステージに注目を移して、
コンサート本体が開演しました。

2) 作曲家のための邦楽器ワークショップ
 [ワークショップリーダー/原案]  坪能由紀子

 パフォーマー=
 西潟昭子(三味線)
 <ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>
 参加の作曲家たち

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ISCM作曲家による邦楽器WS


3) ~SEA~ 邦楽器パワー
 [ワークショップリーダー/原案]
 吉原佐知子(箏) 山本普乃(三味線) 
 松本京子(箏)

 パフォーマー=横浜市立吉田小学校ことクラブ

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-~SEA~和楽器パワー


4) 7人の邦楽器奏者による創作ワークショップ
         ~7つの海~
 パフォーマー=
  大竹和子・黒沢陽子・松本京子・吉原佐知子(箏)
  上原潤一・山本普乃(三味線)
  山口賢治(尺八)


5) デフィスカバリング ア ニュー ミュージック
 [ワークショップリーダー/原案]
  ジョン・クーニー(作曲家/イギリス)

 パフォーマー=瀬尾宗利(クラリネット) 
        宮崎桃子(ヴァイオリン)
        野澤佐保子(箏) 上原潤一(三味線)
        東横学園小学校

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-デフィスカバリング・ア・ニュー・ミュージック


6) TAKE THE 竹
 [ワークショップリーダー/原案]
 牧野淳子(関西音楽教育研究会代表)

 パフォーマー=山口賢治(尺八)
       一般公募による参加者
       (小学校4年生~一般)

 [楽器作り協力] 中本 崇 渡邊基子 
         亀岡市国際センタースタッフ

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-TAKE THE 竹


これらのステージも、全日のコンサートに続いて
それぞれに独自の創意工夫に満ちあふれていて、
とても楽しい時間を多くの参加者の皆さんと
共有することができて、とても有意義でした。
事前のワークショップからの積み重ねが
十全の効果を発揮していて、
一般の(音楽家ではない)参加者が
プロの音楽家と一緒に演奏するという触発を得ながら、
自主性を持ちながら、音楽ステージを創っていくとう、
新しい音楽教育プログラム像が、
しっかりと浮かび上がっていました。

中でもとりわけ画期的な出来事がありました。
“作曲家のための邦楽器ワークショップ”です。

このステージは、<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>
に、加盟支部・準会員の会議代表や作品が演奏される
海外作曲家を対象として、
参加者をレジストレーション・オフィスで募集したところ、
多数の参加者が集まって実現したのです。
午前中に事前ワークショップを行ない、普段は
ISCM総会(国際会議)で強面の発言を繰り出している
某作曲家も童心に還ったように箏に触れながら、
ああでもないこうでもないと喧々諤々意見を交換しながら、
音楽づくりを展開していったのです。結果としては、
3グループに分かれて集団即興創作を行ない、
それを連続演奏に繋いで一つのパフォーマンスにまとめた
本番になりました。

ISCMの歴史上、参加作曲家による
このようなワークショップの実現は、
初めての快挙であると思われます。
実行委員長として、ひょとしたらの思いつきで提案した
このワークショップを見事なカタチで実現してくださった
坪能由紀子氏や西潟昭子氏に、厚く御礼申し上げます。


このような3日間にわたる<こどもみらい2001>の
経験は、私自身にも大きな変革をもたらしました。
この音楽祭以後、私もこの教育プログラムの世界に
積極的に参画するようになっていったのです。
このブログの記事で折々に紹介している
「音楽づくり」ワークショップの話題も、
こういった経緯から始った活動であるのです。

今や、学習指導要領の小学校音楽教科に
明記されるに至った「音楽づくり」を、
皆さんも何らかの機会の楽しんでみてください。
きっと、新しい発見がありますよ!