ISCM国際現代音楽協会創設100周年に寄せて、
開催から23年が経過したISCM横浜大会の回想録を続けています。

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<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>への苦難の道のりも、
国際審査会を終えて2000年度の後半に入ると、
いよいよ本大会に実行に向けての準備の
最終段階に入っていきました。

国際審査会から送られてきた入選曲や調整作品のリストを下に、
〘プログラム委員会〙がプログラムを策定していきました。
まずISCM国際作品の各演奏会へのフィッティングを行ない、
更に当初から予定していた現音会員出品枠への、
協会内募集作品の選曲調整を行ない、更には
ISCM音楽祭の日本初開催に相応しい内容を盛り込むべく、
様々な選曲根拠の作品がノミネートされ、
遂に、全19公演(<こどもみらい2001>公演3を除く)
にわたって120作品が演奏されるという大プログラムを、
決定していったのです。

〘プログラム委員会〙の陣容は下記の通りです。
委員長:小鍛冶邦隆(作曲家)
委員:下山一二三(作曲家) 中川俊郎(作曲家)
   松尾祐孝(作曲家)  松平頼曉(作曲家)  
   長木誠司(音楽学/東京大学助教授)
   坪能由紀子(高知大学教授/東京藝術大学、
             こどもみらい2001音楽監督)

その苦労の末でのプログラミングの結果を、
選曲根拠別のデータとして提示しましょう。

◉ 国際審査入選作品・・・・・・・・・43作品
◉ プログラム委員会調整作品・・・・・ 7作品
◉ プログラム委員会設定作品・・・・・ 4作品
◉ 日本支部出品作品・・・・・・・・・19作品
◉ 国際審査員作品・・・・・・・・・・ 6作品
◉ 協賛者推薦作品・・・・・・・・・・ 8作品
◉ 演奏者推薦作品・・・・・・・・・・ 4作品
◉ ISCM歴史的功労者作品・・・・・・・ 4作品
◉ 伝統音楽作品・・・・・・・・・・・・1作品
◉ JSCM音楽祭作品・・・・・・・・・・24作品
            合計・・・・・120作品

※ 国際審査入選・演奏見送り作品・・・・ 7作品

ところで、実際に開催された<WMD2001横浜>は、
23公演(<こどもみらい2001>公演を含む)にわたって
139作品が上演されたとご記憶の方があると思います。
・・・そうなのです、まだここから紆余曲折があったのです。
<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>への苦難の道のりは、
開催前年の2000年度後半に入っても、
まだまだ続いたのでした。

一方で、開催資金・予算の確保の目処は、
徐々に確定していきました。
日本の各機関・団体・企業等は、全て単年度予算であるため、
完全な確定は2001年度開始時にならなくては判明しませんが、
各方面との地道な交渉の積み上げや
各界の理解者のご尽力にも恵まれて、
おおよそ1億(できれば1億1千万円)の目標は、
(当初は絶望的に無理と思われていた数字でしたが)
徐々に現実的なものとなっていったのです。

概略を披露すると・・・
文化庁/著作権関連助成/横浜市の基幹財源 =約6千万円
民間財団助成金            =約1千5百万円
企業等協賛金及び個人寄付金        =約1千万円
入場料収入・JSCM会員出品料・JSCM自己資金=約2千万円
・・・という内訳で、約1億円が見えてきたのでした。

しかし、実行委員長の私にとって、この財源問題は
最大のプレッシャーの種であることは間違いなく、
夢にまで数字が出てきて走り出す始末で、
本当に大変な思いをしました。
「絶対に実現させる!」「想いは叶う!夢は叶う!」
「日本人が普通の仕事を遂行すれば世界最高水準の開催になる!」
という言葉を内心のスローガンとして秘めながら、
とにかく前進していったのでした。


・・・<WMD2001横浜>プログラム冊子/表紙裏・・・
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