一昨日の記事での予告通り、
プロコフィエフの交響曲の探訪を始めています。

古典派のハイドンの技法を基に、
「もしもハイドンが今でも生きていたら書いたであろう作品」
という発想によって作曲した「古典交響曲」に続く
第2番の誕生は、7年後の1925年になりました。

ペトログラード(サンクトペテルブルグ)音楽院で
研鑽を積んだ後、祖国を離れてアメリカに渡り、
更に1923年からパリを拠点とするようになった
プロコフィエフでしたが、
そのパリでの評価は芳しくなかったようです。

当時注目を集めていたフランス6人組に対抗意識を燃やして、
かなり前衛的な"鉄と鋼でできた"交響曲を書こうと考えて
1924年から書き始めて翌1925年に完成した作品が、
この<交響曲第2番>です。

クーセヴェッキーの指揮によるパリでの初演は、
もっぱら冷淡な反応しか得られなかったそうですが、
プーランクだけは称賛を送ったということです。

ソナタ形式による冒頭楽章と変奏曲形式による終楽章の
二楽章構成という、珍しい外形を持つ交響曲になっています。
私の仕事場のライブラリーには、このCDが在ります。

プロコフィエフ/交響曲第1番「古典交響曲」
        交響曲第2番
        交響的絵画「夢」
 マリン・オールソップ指揮
 サンパウロ交響楽団
 NAXOS / 8.573353
オールソップ盤CD

###<交響曲第2番 ニ短調 作品40>(1925年)###

[第1楽章]
凶暴な第一主題の提示と発展の後、
鍵盤楽器も動員した軽妙洒脱な第二主題が奏されます。
その後も、基本的に押せ押せの楽想が続いていきます。
一旦重々しく落ち着いた所から展開部が始まります。
擬似行進曲調に次第にヴォルテージを上げていって
遂に第一主題が回帰してきて再現部の突入します。
しかし、その再現部もかなり変容されています。
そして終結部まで一気に進んでいきます。
"鉄と鋼でできた"交響曲を書こうという
作曲者の意気込みが注入されている音楽です。
(演奏時間=約11分)

[第2楽章]
中間楽章を廃して、変奏曲形式によるこの楽章が
終楽章となっているという、珍しい交響曲です。
どことなく不安げな雰囲気が漂うテーマの提示の後、
静謐なイメージの第一変奏、
やや明るみと諧謔性を持つ第二変奏、
更に行進曲調スケルツォのような楽想が疾走する第三変奏、
一転して緩徐調になって柔らかに進む第四変奏、
再び闊達な音楽に舞い戻る第五変奏、
最後の第六変奏になると、テーマが持つ不安げなイメージ
も回帰しつつ、次第にヴォルテージを上げていきます。
重々しく行進曲調に発展した後、
融和な、しかし諦念も感じさせるような終結部になり、
神秘的な美しさの中に消えるように全曲を閉じます。
(演奏時間=約23分)

第二楽章の変奏曲の中に、緩徐楽章の要素や
スケルツォの要素が含まれていますので、
二楽章構成でありながら四楽章構成に匹敵する
音楽的な内容を包括した交響曲と
捉えることもできるでしょう。

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YouTube / プロコフィエフ: バレエ音楽「シンデレラ」
      組曲第2番 - I.舞踏会を夢みるシンデレラ
[ナクソス・クラシック・キュレーション #かわいい]