セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフは、
1873年生まれで没年は1943年の、
ロシアの作曲家、ピアニスト、指揮者です。

<交響曲第1番ニ短調>は、1985年に完成されましたが、
1987年の初演が大失敗となり酷評を浴びせられ、
生前の間は再演されることはありませんでした。
その第1番への惨憺たる評価によって、
精神的にも痛烈な打撃を受けてしまった作曲家は、
暫くはほとんど作品が書けない状態に陥りました。

その後、あの有名な<ピアノ協奏曲第2番>や、
今日ここでご紹介する<交響曲第2番>の大成功によって、
ラフマニノフはようやく立ち直ることができたのだそうです。

しかし、<交響曲第1番>も、今日の演奏で聴いてみると、
若書きの粗削りな面があるとはいえ、
活気に溢れた作品として評価できると思います。
そして、<交響曲第2番>は、その第1番を基盤として、
更に流麗な音楽の流れが際立っていて、
ロマンの放出がより明快になった作品になっていると思います。
同時代の他の作曲家の作品に比べると、
後衛的とも思われてしますかもしれませんが、
第1番で痛烈な打撃を受けてしまったラフマニノフとしては、
こういった方向性の選択が必然であったのかもしれません。

さて、この<交響曲第2番ホ短調>は、1907年の作品です。
初演は、作曲者自身の指揮によるマリインスキー劇場管弦楽団
によって翌年に行われました、

第1楽章は、ロシアの作曲に特有の、
鬱蒼とした雰囲気から次第に立ち上がるような序奏を持つ
ソナタ形式による冒頭楽章です。
有機的な展開も充分な筆致で、
この作曲家の地力を伝えるに充分な音楽です。

第2楽章は、きびきびとした印象に始るスケルツォです。
ラフマニノフという作曲家が、
けっして融和な旋律一辺倒の作曲家ではないことを
物語ってくれる音楽です。
とは言っても、そこかしこに優美な旋律が登場する様は、
正にラフマニノフなのですが・・・。
構成形式としては、ABACABAという区分が明確で、
単純にトリオ付複合三部形式というよりも、
ロンド形式と捉えられるように思われます。
中間部(C)の部分は展開部と言って良い程に発展的で、
畳み掛けるような迫力がある点も、
第1番のスケルツォに既にその萌芽が見られます。

第3楽章は、哀切なまでにロマンティックな緩徐楽章です。
一時期にポップス界を席捲したエリック・カルメンが、
ラフマニノフが大好きで、自作のナンバーにしばしば
この作曲家のメロディーを引用していましたが、
この楽章のテーマを用いたものご最も有名です。
とにかく、この楽章は、ロマンに身を委ねて、
難しいことは考えずに、どっぷりと聴くに限ります。

第4楽章は、第1楽章の終楽章とは打って変わって、
いきなり輝かしくまた快速な音楽から始ります。
ソナタ形式を基本とした構成と思われる終楽章ですが、
第1主題が、第2主題の提示や再現の後にも明確に登場ること、
展開部に入ってから中間主題と捉えられる
連綿たる主題が高らかに歌われること、
しかもその主題がコーダで大々的に回帰すること等、
独自の要素を多分に持っています。
ラフマニノフ風ロンドソナタ形式と言うべきでしょう。


写真は、私の仕事場のライブラリーにあるこの曲の1枚です。
この作品を初演した楽団の演奏による録音です。
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮/マイリンスキー劇場管弦楽団
PHILIPS / UCCP-3315

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さて今宵は、飛びっきりのお茶でも入れて、
ラフマニノフの交響曲をじっくりと聴くことにしましょう!

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YouTube / Rachmaninoff: Symphony no.2 op.27
- Radio Filharmonisch Orkest
- Complete live concert in HD